軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

51「ガープさんだって強いんじゃね?」②

ガープは立ち上がらせた獅子山に拳を叩き込みながら、冷静に考えていた。

不死は存在しない。

それは揺るがない。

しかし、獅子山の再生能力は不死を勘違いさせるほど凄まじいものだ。

ならば心を折ろうと暴力に訴えてみたが、意外と心は頑丈だ。

いや、違う。

すでに心は脆く粉々になっている。その心を松島明日香という接着剤で歪に固めているのだ。

松島明日香のことを想う獅子山の心だけは、頑丈である。

ただ、二言目には明日香への想いを口にする獅子山は、本当に明日香を愛していたのか疑問だ。ガープには、獅子山が自分に言い聞かせるように、明日香への愛を叫んでいるように感じた。

(……中学生なんて、好きな人がころころ変わる奴だっているし、恋をしない奴だっている。思春期の不安定さは、俺も経験済みだ。だから思うんだが、獅子山は本当に松島明日香に愛情を持っているのかねぇ。好意はあっただろう。そこまで否定しないが、明日香への想いをきっかけに力を手に入れて、いろいろやらかしたから引っ込みがつかなくなった――そんな感じがするんだよなぁ)

肋を折り、顎を砕き、頬骨も砕いた。

それでも、まるで怪我などなかったかのように綺麗に再生している。

唯一怪我をした証拠として残っているのは、獅子山が流した血が身体と衣服を真っ赤に染めている。

「楽しくなってきたな、どうすればその歪な心が壊れるのか……試したいことがたくさんあるんだぜ。さあさあ! さあ! 次は何をするかな!」

実に魔族らしい言葉を吼えたガープ。

獅子山は怯えを見せたが、引かなかった。

「屈しない、僕は屈しない。なぜなら、不死だから。明日香がくれた不死だから。今も、僕の隣で、薄汚い魔族に負けるなって応援してくれている。大丈夫だよ、明日香。僕は負けない!」

「…………あれ? もしかして、この子、もう心壊れてね?」

ガープも魔族である以上、「ピント」を合わせれば、死者の魂を見ることができる。

しかし、獅子山の近くに明日香の魂はない。

代わりとばかりに、血まみれの男女が怨嗟の声をあげて絡みついていた。

あまり見ていて気持ちのいいものではないので、「ピント」を外した。

「明日香、明日香、僕が君の復讐をしてあげるからね! みんな殺して、君を生き返らせて、結婚しよう。子供をたくさん作って、そうだ、犬を飼おうよ。家は、ちょうど僕の家に誰もいなくなったから問題ないさ。ははは、明日香ったら、そんなの喜んでくれるなんて――俺、幸せだよ」

ガープはドン引きした。

アマイモンは痛々しいものを見ていられないと目を逸らした。

杏は「ひえっ」と小さな悲鳴をあげた。

月読は「少々病みすぎてませんか?」と困惑している。

小梅は「キモすぎるんじゃ!」と叫ぶ。

夏樹は「え、純愛? これ、純愛? 純愛ってなに?」と頭を抱えていた。

「って、うぉおおおおおおおおおおおおおおおおお! なんで由良夏樹ルシファー・小梅、月読命がいるんだよぉ!」

急に背後に現れた夏樹たちの登場に、ガープが絶叫した。