作品タイトル不明
4「自分を過信している姿って悲しくね?」①
「なるほど。さすが神ということですね。力を限界まで小さくしている。きっと矮小な人間はあなた方とすれ違っても神であるとは気づかないでしょう」
「だーかーらーなーんーだーよー!」
素盞嗚尊が虚空から剣を引き抜く。
――天叢雲剣。
素盞嗚尊の愛剣である。
「――素晴らしい。離れているというのに、剣からのプレッシャーで飛んでいってしまいそうです」
「なら宇宙の果てまで飛んでっちまえ」
「……先ほどから感じていましたが、少し私に対して塩対応ではありませんか?」
「俺の前世から来世までの大親友なっちゃんの敵にどうして俺がフレンドリーな対応をしてやらなきゃならねーんだよ!」
「…………なっちゃん?」
「向島市の勇者! ギャラクシー河童勇者様だ!」
「ああ……由良夏樹ですか」
「てめぇ、なっちゃんを呼び捨てにするとかどれだけ偉いんだよ! ああっ!?」
はぁ、と月読が呆れたようにため息を吐く。
同時に少し落ち着いた。
なぜ弟は夏樹に執着するのだろうかと不思議で仕方がない。
いつの間にか素盞嗚尊と夏樹が共に親友であると認識し合っているし、会えば仲がいい。
少し前に、殺し合った関係とは思えない。しかも、実際、夏樹は心臓が戦いの最中に止まっていたのだ。
(私の生徒も、私の弟も、どちらも度量が深いですね)
「個人的には由良夏樹のことは嫌いではありませんし、正直に言うならば我が「帝国」にスカウトして最高の戦力となってほしいのです。――しかし、我が皇帝は由良夏樹を好きではないようでして、ならば殺すしかないのです」
怒りを露わにしていた素盞嗚尊が「すん」と感情が消えた。
「正直、由良夏樹の噂はよく耳にしていますが、所詮は人間。殺し方ならいくらでもあります」
月読は、保を憐れんだ。
(なんて命知らずなのでしょうか。仮にも素盞嗚と本気で戦える夏樹くんと戦えばどんなことになるのか予想できるでしょうに。間違いなく凄惨なことになるでしょう)
月読だけではない。
素盞嗚尊も悲しげな表情を保に向けていた。
「あのね、俺さ、珍しく真面目に話をするんだけど、悪いことを言わないからなっちゃんに余計なことしないほうがいいよ? 今までなっちゃんにいらんちょっかいかけて痛い目にあった奴いっぱいいるからね? その代表例は俺だよ? 戦って負けて、ママにも怒られちゃったんだよ? 絶対、お前も見ていられないくらい酷い目に遭うから。やめとけ、マジでやめとけ」
「なるほど。どうやら、彼のことを誇張して伝えることで私と戦わせたくないということですね」
「この子、俺の親切が何も伝わってないんですけど! もう嫌! どうしてこう言う子ってお話聞いてくれないのかな!?」」