軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

49「偽物じゃね?」①

「と、とりあえず、天照大神様とお会いしていただきたいのです。天照大神様も、夏樹様をお待ちしていますので」

「俺を?」

なんで、と首を傾げる夏樹に、茅が言う。

「天照大神様は、夏樹様がみずち様をお救いしてくださったことを存じ上げているそうです」

「……まあ仕方がないか」

夏樹が出会った那岐爺と、神様だった月読先生は天照大神の家族だ。話が伝わっていても無理がない。

ここで問答をしていても仕方がないので、さっそく天照大神に会うことにする。

「では、こちらへどうぞ」

茅たちに先導され、夏樹たちは水無月家に足を踏み入れる。

都や澪は、小梅の顔を見て目を見開くほど驚いていたが、正体がわかったというよりも信じられないほどの美女がいることのほうにびっくりしたのだと思われる。

さらに都と一登はお互いに見覚えがあるようで、お互いに「どうも」と挨拶をしていた。

星雲と雲海は銀子を見て「……青山の問題児がいるぞ」とこちらもどうやらお知り合いのようだった。

数日ぶりに来た水無月家は、夏樹が一部破壊したままだった。

だが、みずちがいた場所だけは修繕されていて、しっかりとした造りの離れができあがっている。

「おっと」

近づいただけで跳ね飛ばされてしまいそうな力を感じた。

神力もそうだが、存在感がとてつもない。

(……しかも、一定の力がなければ気づけないほど格上だ。なるほど、これが天照大神か。さすがだ)

まだ見ぬ神の存在に、冷や汗をかいた。

異世界では、すべての元凶であり星の支配者を名乗る魔神と戦い、殺したが、天照大神ほどの力はなかった。

神殺しをしたからといって傲慢になった覚えはない夏樹だったが、天照大神の凄まじい力に身を引き締め直す。

(真面目な話、敵対関係じゃなくてよかったわ。今の俺じゃ、逆立ちしても勝てないかもしれない)

同じく力を感じている銀子の顔色も少し悪い。

小梅も天照大神の力を感じ取っているはずだが、平然と鼻歌を歌っている。さすがルシファー一族だ。

「こちらに天照大神様がお待ちです。お呼び致しますので、しばしお待ちください」

「あ、あの、仮にも天照大神様なんですから、俺たちが伺わなくていいんですか?」

離れの前に夏樹たちを待たせ天照大神を呼んでこようとする茅に、夏樹は慌てて声をかけた。

しかし、茅は少し困った顔をして首を振った。

「夏樹様たちが到着なされたら、必ず呼ぶようにと言われていますので……しばしお待ちください」

そう茅に深々と頭を下げられてしまうと、夏樹もそれ以上なにも言えなかった。

顔をあげた茅は、天照大神のいるであろう離れに呼びに行ってしまう。

「なーんで、わざわざ?」

「きっと部屋が汚な過ぎてイメージダウンするから呼べんのじゃろう」

「いやいや、小梅さん。さすがに天照大神様が汚部屋に住んでいるとかありえないっすから。仮に、そういうお方でもご降臨して数日で人を呼べないほど部屋を汚せないでしょう。私が思うに、まだ整理整頓できていない人には見せたくない趣味があるからっすよ」

「俺様はさておき、銀子は不敬すぎるじゃろう。仮にも日本のビッグネームじゃぞ」

「私は特定の神を崇めたりしませんので」

「俺様のことは崇めてもいいんじゃぞ?」

「家族を崇めたりしませんって」

「う、うむ。言ってみただけじゃ」

銀子と小梅のやりとりに夏樹がほっこりしていると、離れにあった神気が動いた。

同時に、茅の「ほ、本当にそのお姿で出られるのですか? 袴を用意してございますが」と慌てた声が聞こえる。

はて、と夏樹が首を傾げていると、ガララ、と離れの扉が開く音がして、

「――は?」

中から上下スウェットの女性が現れた。

目を点にする、夏樹たちを前に、女性は名乗った。

「こんなんですが、天照大神でーす。さーせん」

(……こいつ、偽物じゃね?)