軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

エピローグ「海と言ったらワイハーじゃね?」

「由良夏樹、あんた顔色悪いわね。どうする、ツインテールにする?」

「……うん、ツインテールにする」

ホラーな夢のせいで睡眠学習できなかった夏樹は、屋上で暗い顔をしながらお弁当を食べていた。

「いやいや、夏樹くん。ツーブロックからツインテールは無理だからね」

「どうしてすみれちゃんはツインテールにこだわるの!?」

同じく屋上で一緒に昼食を取っている一登と杏も、夏樹の暗い顔を心配しつつも、青春すみれのツインテールの強行に驚いていた。

「ツインテールって青春でしょう?」

「う、うん、まあ青春ではあるかもしれないけど」

「少し古いかなっていうか、現実にやっている人ってあまりいないんじゃ」

創作物でツインテールにしているキャラクターはたくさんいるが、現実ではあまり見かけない。

身近にいるツインテールは、夏樹と契約している蒼穹の星槍こと星子くらいだ。

「じゃあ、私のツインテール独壇場ね!」

「どう言う意味!?」

「ごめん、すみれちゃん。ちょっと意味わかんない」

「……なん、ですって」

サンドイッチを食べていたすみれが驚愕の表情を浮かべた。

いつもの由良夏樹と愉快な仲間たちのノリではあるが、当の夏樹は本当に元気がなかった。

「マジでどうしたの、夏樹くん?」

「あ、もしかしてお兄ちゃんもまたレベルアップしたから気にしているの?」

「実は俺もまたレベルアップしたんだよ」

「そうなの!? いや、それも気になるんだけどさ……」

レベルアップ案件も気になるには気になるが、害はないので放置でいい。

とても気になるが、日常生活には困らない。

だが、ホラーな悪夢は違う。

実際問題として、毎日がイベント尽くしの夏樹にとって身体と心を休めるために睡眠時間にまったく気が休まらない事態はよろしくなかった。

今はまだいい。

しかし、そろそろ朝起きたらシーツに世界地図を描いてしまうかもしれない。

そんなことになったら、お婿に行けなくなってしまう。

「夢がホラーでさ……見てよ、この首の手形を」

「……うん、見ないようにしていたけど、例の夢案件だったんだね」

「……え? もしかしてホラー映画のように夢の中で襲われたのが現実の体に反映しちゃうのだよね!?」

一登は顔を引き攣らせながら、杏は顔を輝かせた。

「あ、杏さん、そんなにキラキラした瞳を向けられてもなっちゃん困っちゃうっていうか、ドヤ顔したくなっちゃうんだけど」

「……まだ余裕あるでしょ、夏樹くん」

「ないよ! 割といっぱいいっぱいだよ!」

「ちょっと! どういうこと!? その首のアザって、エグい夜の青春した名残じゃないの!?」

「……すみれさん、今のなっちゃんには突っ込む元気がないんだ。よかったら、ツッコミの勇者の七森千手さんにお願いして」

「千手さんに怒られるよ?」

夏樹のアザを誤解しているすみれに、一登が説明してくれた。

夏樹の夢に女性が出てきて、ホラー展開になっていること。

何かしら怖い目に遭ってしまい、大変だということ。

「なるほど。つまり、私の出番ね」

「……今の話でどこに青春すみれさんの出番があったのか、残念だけど俺にはわからないなぁ」

「杏も」

「なっちゃんも」

「つまり、こういうことよ! ツインテールチョップ!」

「あびばっ!?」

すみれの鋭い手刀が夏樹の首をとらえる。

首からしてはいけない鈍い音が響くと同時に、夏樹はかくん、と崩れ落ちた。

「ふー、良い仕事したわ!」

「ちょ、すみれさん!?」

「すみれちゃん!?」

「さっきから変な力がこの子にまとわりついているから不思議だったのよ。こういう時は、きちんと時間をかけて向き合うのが青春よね!」

「……いや、あの、だから、向き合うことができないから珍しく夏樹くんが疲弊していると言うか」

「……きっとまたホラーな目にあって叫んで起きると思う!」

力技で解決しようとするすみれに、一登と杏がドン引きしていた。

そして、由良夏樹は、

「アロハー!」

常夏の海で、日に焼けた金髪なお兄さんと遭遇していた。