軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

プロローグ「陽キャはなんで陽キャなのか不思議じゃね?」

現実で意識を失った由良夏樹は、気絶して時間を消費するのではなく、夢の中にいた。

「……また、来ちゃった。おのれすみれさんめ。なっちゃん、怖くて目が開けられないんですけど」

今度はどんなホラーが来るのかわからず、恐怖から目を開けることができない。

ざざん、ざざん、と波の音がする。

「――あれ?」

目を瞑ったまま夏樹は首を傾げた。

「なんかいつもよりも暖かくね? つーか、夏みたいじゃね!?」

一度気になったら止まらない。

夏樹は反射で目を開けてしまった。

そして、叫んだ。

「常夏のビーチだぁああああああああああああああああああああああああああ!」

同じ海でも、満天の星が輝く夜の海とは違う、日本から遠く離れたハワイのようなビーチにいた。

暑い風が夏樹の頬を撫でた。

流石にありえない、と自分の頬を叩いてみる。

夢じゃない。夢だが、夢ではないのだ。

白い砂浜。

透き通った青い海。

聳え立つ椰子の木。

そして、日に焼けた陽キャ。

「…………おやおや?」

何か余計なものがいた気がする。

夢だからだろうか。

夢は自分の思い描いた通りにはならない。

一度目を閉じて、最近眼精疲労気味の瞳を瞼の上から揉む。

そして、もう一度目を開けた。

白い砂浜。

透き通った青い海にはイルカが跳ねている。

何本も並ぶ椰子の木は日本でお目にかかったことはない。

そして、こんがり肌を焼いた陽キャ。

「おやおやおやおやおや?」

もう一度目を閉じ、また開く。

日焼けした肌の金髪の陽キャがいた。

「やっぱり陽キャがいるぅうううううううううううううううううう!」

「アロハー!」

「しゃべったぁあああああああああああああああああああああああ!」

「うぇーい!」

「ひぇぇええええええええええええええええええええええええええ!」

夏樹は叫んだ。

夢の中でホラーな女性がいるのもびっくりだが、陽キャがいるのもびっくりだ。

どちらも怖い。

特に、目の前にいる青年は、鍛えられた日焼けした肉体を見せつけるようにアロハシャツのボタンを開け、ハーフパンツにビーチサンダルという選ばれし者だけが許される格好をしていた。

太陽を反射する金髪には、サングラスが乗っている。

――偏見もあるが、親がめっちゃ金持ちの大学生だった。

何よりも、夏樹とは相容れない『陽の者』だった。