作品タイトル不明
73「ジェイソンさんには不思議がいっぱいじゃね?」①
「ジェイソンさん」
「ナイスガッツだったぜ! 青森で生まれ変わったスーパーマモンとガチで戦って気分はどうだい? すっきりしたんじゃないか?」
「ええ、そりゃ、まあ」
ジェイソンに尋ねられ、夏樹は素直に頷いた。
単純な出力が上がっても、出す場所がなかった。
これはフラストレーションがたまる。
だからといって、誰かに迷惑をかけてまで暴れたいわけではない。
そんな中、漆黒騎士さまたーん、ことマモンとの戦いを終えて、すっきりしていた。
「――なら、俺の役目は終わりだ。マモン、お前さんも良い経験になっただろう」
「まもんまもん。俺は強欲な魔族だが勤勉な魔族でもある。さまたんのもとで強くなったが、まだまだなまもんまもんであることを痛感した。由良夏樹、いずれ俺はさらに強くなりお前と再戦すると約束するでまもんまもん」
「楽しみにしているぜまもんまもん」
にぃ、と夏樹とマモンが笑う。
「その時には、スーパーマモンマモンタイムを超えたジャイパーマモンマモンタイムをお披露目するでまもんまもん」
「俺も、ギャラクシー流奥義を披露するぜまもんまもん」
「まもんまもん」
「まもんまもん」
「まもまもまもまもまもまもまもまもまもまもまもままもまもまもまもまもまも」
「まもまもまもまもまもまもまもまもまもまもまもまもまもまもまもまもまもも」
「そこ! うるさいんですけど! 何か通じるものがあったのかわからないけど、なんか耳がざらっとするからやめて!?」
何か通じ合った夏樹とマモンが声を揃えると、一登が耐えられず叫んだ。
杏は、「はわわ、お兄ちゃんがまもん系インフルエンサーのマモンさんとこんなに仲がいいなんて!」と感動しながら動画を回している。
「もう一登ったら、千手さんがいないからってここぞとばかりにツッコミ担当を奪おうとして」
「そんなことしていないからね!? なんなら千手さんにここにきてほしいくらいだよ!」
「またまたぁ!」
「そろそろ訴えるよ!?」
「はははははは!」
「いや、笑って流さないでね!」
そんなことを言い合う夏樹と一登を微笑ましく見守るジェイソンに、杏が尋ねる。
「あの、ジェイソンさん」
「なんだい、ガール?」
「お兄ちゃんがストレス溜まっているから発散させようとしてくれたのはわかったんですけど、でも、どうしてジェイソンさんが? あと、マモンさんとの関係は?」
「良い質問だ、ガール。俺は、流れの河童だ。以前、フランスでマモンとは意気投合してな」
「まさかのおフランスで!? すごい!」
「そこからの縁でちょくちょく連絡は取っていたんだがな。俺の知る中で、一番男気があり、強く美しい男だからこそ、今回マモンに頼らせてもらった」
杏に説明してくれるジェイソン。
彼が褒めたマモンは「てへへでまもんまもん」と照れている。
ふたりがフランスでどう出会い、どのような経緯で親しくなかったのかはわからないが、親しいことはわかった。
「そして、俺がなぜボーイ。いや、なっちゃんにわざわざこのような場を設けたかというと、古い友人に頼まれたからさ」
「……古い友人? サタンさんとか?」
「はっはっは、ガール! 面白いことを言うな。俺みたいな河童が魔界を統べる魔王と知り合えるわけがないじゃないか! この名を聞けば、納得してもらえると思うぜ」
ジェイソンはにやり、とニヒルな笑みを浮かべて「古い友人」の名を口にした。
「――翔・ディロン・マルセー・ロットロット・ナイジェルマリー・赤星」
「師匠ぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!」
異世界で別れた師匠の名を聞き、夏樹が涙を流して夕焼けに向かって叫んだ。
「……どうしてぇ?」
「うん、ちょっと杏もわかんない」
「はっはっは! 男にはいろいろ過去があるのさ。翔が死ぬ前に、スーパーテレパシーで弟子と孫のことについて頼む、と言われてな。気にしていたら、かつて知り合っていたボーイだったから驚きさ。しかも、せっかくの強さを持て余しているじゃねえか。このままでは歪んでしまう。だから、マモンに頼んで発散させたのさ」