軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

68「ギャラクシー流VSまもんまもん流じゃね?」①

漆黒騎士さまたーんは強かった。

実は、夏樹も「もしかしたらマモンさんじゃないかな?」と思っていなかったと言ったら嘘になる。だが、一ヶ月ほど前に戦ったマモンよりもずっと強い。

いくら魔族が強くても、一ヶ月ほどでこんなにも強くなれるはずがない。

(――やるな。漆黒騎士さまたーん)

正直、星槍がない状態では「少し」無理をしないと厳しい。

(やるしかない、か!)

夏樹の魔力が跳ね上がった。

異世界に帰還してから、大きな戦いをしていないこともあって肉体的にも魔力的にも余裕がある。まだ全盛期の力は出せないが、少し無理をしても問題ないくらいに度重なる戦いは夏樹を成長させた。

「――――っ、まもん!」

漆黒騎士さまたーんが、夏樹の魔力がさらに上がったことに気づき警戒したのだろう。大きく距離をとった。

散々殴られたせいで、口は切れて、鼻血も出ている。口周りが血だらけで気持ちが悪い。

袖で無理やり拭うと、あとで洗濯しないと、と思う。

「漆黒騎士さまたーん、かっこよくもふざけた名前しやがって。上等だ。こっちから売った喧嘩だが。ここからは、もうちっと力上げていくぜ」

「ままままままっ! 漆黒騎士さまーんは、青森で農業に勤しみまもんまもん肉体を作った。青森の畑で採れた美味しいまもんまもんな野菜で健康になった! そして、高橋のおじいちゃんから教わった猪の倒したかたら学んだまもんまもんな身体運びから、まもんまもん流とまで昇華したでまもんまもん!」

「いいな。知り合いも青森にいるが、あっちはあっちで楽しそうだ」

一登が何かを叫んでいたが、殴られすぎてちょっと耳が聞こえない。

あとで聞けばいいか。

「そのまもんまもん流とやらを見せてみな」

「言われるまでもないでまもんまもん」

夏樹は雷の剣を消した。

次の瞬間、眩い雷が夏樹から放たれる。

剣ではなく、拳で勝負をしようと決めた。

「――こっちはギャラクシー流だ」

「……噂には聞いているでまもんまもん。かなりの使い手と見たでまもんまもん」

「よせよ。まだ入門したてなんだ。期待されても困るぜ。だけどなんていうか、まあ、死ぬなよ」

「かかってまもんまもん!」

「あいよっ!」

夏樹が消えた。

「――まも」

あ、と一登か杏が口にした。

ジェイソンが葉巻を落とした。

目にも止まらぬ稲光のような速さで漆黒騎士さまたーんに肉薄した夏樹は、その速度と魔力、そして膂力を総動員して全力で拳を振るった。

「――ギャラクシーフォーエバークラーケン河童勇者式まもんまもんエクスプロージョンクーゲルシュライバーぁああああああああああああああああああああああ!」

漆黒騎士さまたーんの腹にお返しだとばかりに拳を叩き込み、さらにもう一歩踏み込む。

「ごめんね! 実はまだいつるさんにギャラクシー流習ってなかったよパーンチ!」

漆黒騎士さまたーんは「気にすんな」と親指を立てたまま壁に叩きつけられた。

「……いや、なんで最後ボールペンって大絶叫したの?」

「クーゲルシュライバーってボールペンだよね。わかるよ。杏もドイツ好きだし、ドイツ製のシャーペンとか愛用しているけど! パンチで叫ぶの!?」

「あ、よかった。そこはちゃんと疑問に思ってくれるんだよね。じゃあ、あの魔族さんがマモンさんだって」

「……一登、繰り返すけど、あの人は漆黒騎士さまたーんだよ? 本人がそう言っているじゃん」

「なんでそこだけ通じないの!?」