作品タイトル不明
67「漆黒騎士さまたーんじゃね?」②
「漆黒騎士さまたーん、とか言ったな」
「そうでまもんまもん!」
「お前がどこの誰かは知らないし、どうでもいい。ジェイソンさんの紹介だったとしても――俺の師匠ヅラしたかったら、俺と戦ってもらおうか!」
「まもんままもん! 俺は強欲な漆黒騎士だが、理解力のある漆黒騎士でもありまもんまもん。その願い、受け入れるでまもんまもん!」
夏樹が獰猛な笑みを浮かべ、身体中から雷が迸る。
漆黒騎士さまたーんからも凄まじい魔力が解き放たれた。
「いやいや、だからね、夏樹くん! 漆黒騎士さまたーんさんはずっとまもんまもんとマモンさんである主張を続けているからね! いくらまもんまもんが流行っていてもここまで自然にまもんまもんを使うのってマモンさんだけだから! 夏樹くんだってまもんまもんを意識して使わないと忘れる時あるじゃん! ちゃんと比べてみて!?」
「一登! 危ないよ、お兄ちゃんと漆黒騎士さまたーんとの戦いに巻き込まれちゃうよ!」
「杏がまともなことを言っていて嬉しいのと、なんで気づかないんだよぉ、違うだろうって悲しい気持ちに板挟みされているんだけど、俺の感情はどうすればいいんだろう!?」
一登のツッコミは虚しく、夏樹と漆黒騎士さまたーんが同時に仕掛けた。
夏樹の雷の剣と漆黒騎士さまたーんの魔力の剣が激突する。
衝撃が荒れ狂い、四方に襲いかかった。
一登は咄嗟に障壁を張って杏を守る。
ジェイソンはトレンチコートを靡かせて、葉巻に火をつける余裕まであったので大丈夫だろう。
「はははははははははっ! やるじゃねえか! やっぱりマモンさんとは別人だ! あの魔族はもっと弱かった!」
「まままままままままもん! 実はマモン氏はサタンより強いことを知っているでまもんまもん! イケオジ度もちょいワル度もすべてがマモン氏の方が上でまもんまもん!」
「急に庇うな……なんか怪しい」
「ぎくり、でまもんまもん!」
「――お前、まさか、マモンさんの友達だな!」
「………………そうでまもんまもんっ!」
夏樹が雷を纏わせた拳を漆黒騎士さまたーんに叩き込もうとするが、魔力で強化された腕で掴まれて抑え込まれる。
「夏樹くん! なんでそこでマモンさん本人だって思わないの!? 今、漆黒騎士さまたーんさんに間があったでしょう!? 間違いなくマモンさんだってことを明かしたかったのに予定と違う展開になって戸惑っちゃって後に引けない感じになっているから早く気づいてあげて!」
一登の渾身の叫びだったが、轟音と爆風によってかき消されてしまった。
「っだらっしゃ!」
「まもーんっ!」
同じく身体強化をした夏樹が漆黒騎士さまたーんを無理やり蹴り飛ばす。
彼に掴まれていた夏樹の腕はへし折れていたが、ヒールを使ってすぐに治した。
そのわずかな間に、壁に激突していた漆黒騎士さまたーんが夏樹に肉薄する。
「まもんまもん流――まもんまもんパンチ!」
「そのままじゃん! 気づいて夏樹くん!?」
漆黒騎士さまたーんの拳が夏樹の腹部に吸い込まれるように直撃した。
「か、はっ」
身体をくの字に折って、肺の中の酸素を吐き出してしまう夏樹の動きが止まった。
「――追撃のまもんまもんラッシュ! まもまももまもまもまもまもまもまもん!」
漆黒騎士さまたーんの拳が蹴りが夏樹を襲った。