作品タイトル不明
54「疑問が残るんじゃね?」
夏樹たちが合流し、死の神が去ったことで待機していた虎童子、神無征四郎、神無義政が千手たちのところに集った。
「ダーリン! なんだよ、あいつ! アホみたいな神気放ちやがって! いきなり圧がかかってスパゲッティに顔をつっこむハメになったんだけど!」
「……俺たちが大変な時にスパゲッティ食ってんじゃねえよ。しかもトマトソースかよ! 服が大変なことになってるぞ!?」
「新しい服買ってねっ!」
「…………はぁ」
千手に抱きついてきた虎童子は、トマトソースの良い香りをさせいていた。
待機中ということで食事をしていたところ、死の神から発せられた神気の圧で押しつぶされたようだ。不幸としか言いようがない。
「何度か新たな神々と邂逅しているが、死の神は別格のようだな。死の神が現れただけで、死んだ錯覚に陥ってしまった」
顔色を悪くして神無征四郎が呟く。
一流の剣士である彼はいざとなった時の戦力として控えてくれていたのだが、神が相手では分が悪い。
征四郎だけではない。
夏樹という例外を除き、誰もが死の神の前に屈したのだ。
「僕的には、なぜ死の神がお金を欲しているのか気になりますね。彼の立ち振る舞いからは、物にこだわる神ではないと思うのですが……」
眼鏡をくいくいしながら神無義政が疑問を口にした。
彼は征四郎についてきたのだが、後方支援というわけではない。
五歳児に何ができるのだと思うのだが、後ろに義政が控えていると思うだけで謎の安心感があるから不思議だ。
「義政先生の言うとおりだ。俺も、金の使い道は気になっている。あの神は、由良にすらさほど興味を持っていなかった。俺たちなんて、その辺の石ころとかわらねえ、視界に入っていることさえ認識していなかったぜ。そんな神が、金? はっ、笑わせるぜ」
新たな神々も金を必要とすることはわかる。
それなりに質の良いものを身につけている神もいたし、嗜好品を楽しむ神もいる。
だが、死の神はそういうものとは縁がないように見えた。
ジーンズとシャツという出で立ちで、靴すら履かず裸足の神が金を手にして何に使うというのか千手は興味が尽きない。
「死の神に関して情報が皆無ですから、答えは出ませんが……あれほどの力を持つ神が欲する何かというのは得体が知れないものなのか、それとも意外と僕たちの身近なものなのか」
義政も千手もあまりにも死の神が情報を話すことはなかったので、金を必要としている以外のことはわからなかった。
「ま、詳しく知っているのか分からねえが、加座間のジジィに聞くか。問題は、この大所帯でどこに行くか、か」
「その前に……なんというか、由良夏樹たちは放っておいていいのか? 何やら早口で会話をしているようだが、何を言っているのかわからん」
「安心しろ、神無。俺もまったくわからねえ。あれだけ饒舌に話しているのに、まったく意味がわからねえから!」
ギャラクシー河童勇者とショタエルフ侍らせてえさん、そして人外っ子プリンスが盛り上がっているのだが、日本語のはずが千手の脳にはまったく理解できなかった。