軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

間話「抜け駆けじゃね?」②

魔族マモンは、魔界を統べる魔王サタンを倒しサマエルを魔王にしようと長年企んでいた。

サマエル自身は魔王になるつもりは微塵もないが、マモンは諦めきれなかったのだ。

しかし、その企みは人間由良夏樹によって潰されてしまった。

結果として、マモンは青森のサマエルの農家で労働をしながら、さまたんチャンネルの登録者が百万人に到達するまで青森から出ることができないという、ほぼ無期懲役となった。

だが、面白いことにマモンの存在感がさまたんのチャンネル登録数を増やした。

サタンの気まぐれか、同情か、それともさまたんをからかうためか、サブチャンネルとしてまもんまもんチャンネルを開設し、ふたつのチャンネルの登録者を足していいということになったのだ。

動画配信と相性がよかったのだろう。

動画のアクセス数は伸び、登録者も増えた。

収益のおかげでさまたんの晩酌が良くなったのは嬉しい誤算だった。

そんな日々を青森で送るマモンだが、基本的に青森から出て行くことは許されていない。

それでいながら、キャベツや米をお裾分けに向島市に何度か足を運んでいる。

魔王サタンが居候している由良家になんの躊躇いもなく訪れているので、度胸があるのかサタンを舐めているのか悩ましい。

マモンが言うには、宇宙にも行ったようだが、さすがにそれは誇張だろう。

「――あのまもんまもんやろう。太一郎くんにこのこと知られたら、ちくちく言われるのは私なんだぞ! 学生時代の頃から、規則を守らないというか、独自に感性のまま動く奴だったが何世紀経っても成長しない奴だな! それで、どこにいるんだ!?」

動画を進める。

相変わらず動画の中のマモンは猫を撫でながら、怖い顔をしながら声を弾ませていた。

「このマモン。さまたんに何も言わずに青森を出ることは忍びなかったまもんまもんですが」

「そもそも出るんじゃねえよ!」

「しかし! このマモンは求められたら、地の果てでも、宇宙でも、海底でも、ムー大陸でも行ってみせまもんまもん!」

「いや、ムー大陸は無理だろ!」

「きっと、さまたんはムー大陸は無理だろ、とまもんまもんと突っ込んでいるでしょうね。しかし、実は、ムー大陸は……おっと、これは本題と違うまもんまもんなお話しでしたね。失礼しまもんまもん」

「最後まで言ってよ! 実は、ムー大陸がなんだって言うんだよ!? めっちゃ気になるんですけど!?」

残念ながら、マモンはそれ以上ムー大陸に触れることはしなかった。

「さて、まもんまもんなサマたんはもうすでにお察しかと思いまもんまもんですが」

「なーんも察してねえけどね!」

「実は、このマモンは青森を出て、向島市に向かいまもんまもん!」

「――は?」

「――つまり、間話から本編に出向でまもんまもん!」

ドヤ顔をして衝撃発言をしたマモンに、さまたんが叫んだ。

「こいつ抜け駆けしやがったぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」