作品タイトル不明
43「仕返しするのは基本じゃね?」①
夏樹が「はぐれ霊能力者たちを殺さない」とはっきり言うと、彼らは安堵の表情を浮かべて涙を流した。
「あのさ、夏樹くん。いい感じのところを申し訳ないんだけど、他のはぐれ霊能力者さんたちが死にそうだから、まずは回復させてあげて欲しいかなって」
「――あ」
三人を残して他の面々は成敗済みだ。
殺していないが、瀕死である。
一登の指摘に、夏樹は慌ててヒールをかけた。
「よし!」
自業自得とはいえ、痛い目に遭ったはぐれ霊能力者たちは怪我が回復した事に驚いている。
「襲いかかってくる気配はないけど、二度目はないからさ。状況説明をしてあげてくれる?」
「わ、わかりました」
三人のはぐれ霊能力者にお願いすると、彼らは心よく受け入れてくれた。
「なんかさ、テンション下がっちゃうよね。あの人たちも何かとわけありで裏稼業にいるみたいだし、なんだかなーって」
「そう、だね」
「……うん」
加座間吉座の言葉通りなら、彼らは霊能力者として活動することができず、はぐれとなったらしい。
人の事情を深掘りするつもりはないが、やりたくなくてこのような仕事をしているのであれば、少し同情する。
「何をふんにゃりした顔をしているのよ。下手な同情は失礼よ」
「すみれさん」
「私はいろいろな子を見てきたけど、良いことも悪いことも最後の選択は本人に委ねられているわ。彼らがあんたを襲撃したのは事実だし、あんたたちが弱かったら攫われていたんだから、割り切りなさい」
「――うん」
夏樹、一登、杏がすみれの言葉に深く頷いた。
「じゃあ、ここからは仕返しの時間だねぇ」
そして夏樹だけがすぐに表情を変えて、にちゃぁ、と笑う。
「な、夏樹くん!?」
「お兄ちゃん!?」
「加座間吉座ぁ、お前は許さねえ。いたいけな中学生を拉致した挙句、あんなことやこんなことをしようだなんて、ギャラクシー河童勇者の目が黒い内はさせねえよ。二度と、そんなお馬鹿なことを考えられないように――お仕置きだべ」
バチバチと音を立てて雷を纏う。
加座間吉座の居場所はわかっている。
ここから十分に届く距離だ。
「きひひひひひひひっ、加座間吉座ぁ! ギャラクシー河童勇者の罰を喰らうがいい!」
雷が一振りの剣となり、凄まじい魔力を帯びて荒れ狂う。
青春の神であるすみれの目からしても、よくそれほどの力を普通に操ることができるものだと、感心と呆れが浮かぶ。
夏樹は雷の剣を握りしめると、よいしょ、と振るった。
「――怒れ、神鳴りの剣」
雷鳴が轟き、魔力を帯びた雷が迸る。
刹那、向島市の空を白く染めた。
そして、雷がどこかに直撃し、衝撃が夏樹たちに伝わった。