作品タイトル不明
40「ツインテールって振り回したら武器になりそうじゃね?」②
結局、七人が地面に倒れ、三人が地面に正座して小刻みに震えていた。
「……はぐれ霊能力者って、雑魚すぎ。ちゃんと資格取れないからはぐれになっちゃう感じ? 雑魚だから、正当に霊能力者を名乗れないってことでオーケー?」
純粋な疑問を浮かべる夏樹だが、返事はない。
黒服を着込んだ二名の男性、一名の女性は、夏樹と視線を合わせることすらできない。
「困ったなぁ。いたいけな中学生を、大人が襲うなんて。霊能力者とか関係なく、人としてどうなの? 屑じゃない? 屑の中の屑じゃない? 殺しても問題ないんじゃないかって思うんだけど、むしろ表彰もんでしょう。世の中から害虫を排除するんだから、誰も損しないし?」
夏樹は真剣にそう思っていた。
この手の輩は、相手が夏樹でなくても金を払えばやるだろう。
中学生を人を集めて襲うような人間だ。口に出せないようなことをしているに違いない。
「夏樹くん、気持ちはわかるけど、ほどほどにね。正直、相手にするだけ無駄だよ」
一登も辛口だ。
結果的に、夏樹が強かったからよかったものの、相手の方が強ければ酷い目に遭ったのは一登たちの方だ。
結果的に、襲撃者を撃退できたが、できなかった場合何をされたのかわからない。
最悪のことを考えるとゾッとするし、襲撃者にかける情けはない。
「わ、私たちは加座間吉座に雇われた」
「いや、誰だよそれ」
「――え?」
黒服の女性が、この状況を打破しようと情報を吐き出した。
本当に夏樹が経験した通りである。
異世界でも地球でも、悪党などこんなものだ。
「加座間さんはわかるけど、芳雄さんなんて知らねえから」
「よ、吉座だ」
「うん。別にどうでもいいよ。それで、加座間さんちの吉座くんがあんたたちを雇いました。はい。それで?」
「……わ、私は加座間家の情報を持っている」
「で?」
「助けてくれるのなら、情報を渡す」
「――いらないっ!」
「――え?」
「いーらーなーいー!」
「な、ぜ」
情報を渡して身の安全を確保しようとした女性だったが、夏樹は交渉に応じるつもりはない。
「あのね、俺が加座間さんちの吉座くんの情報が欲しいなんていつ言ったの?」
「しか、し」
「加座間家だって、あんたらみたいな馬鹿を使って襲ってきたんだ。放っておけばまたくるでしょう。撃退していたら、いずれ当人がくるかもしれないじゃん。遅かれ早かれになるなら、別に情報はいらないかなー」
「……な、な」
予想外だったらしく、女性が口をぱくぱくさせる。
男性たちも夏樹の考え方に驚愕していた。
――無論、嘘だ。
襲撃者と交渉するつもりがないのは事実だが、こう言っておけば、情報は勝手に話し始めると経験済みだ。
何よりも、情報に興味がないというのも事実だ。
加座間家の場所は別に隠されていない。
なら、次はこちらから襲撃をかければいい。それだけの話だ。
どうせ鏖殺してから更地にすることが決定しているので、加座間家の情報などいらない。
「なっちゃん、飽きちゃった。ごめんね。もっと面白い話をしてくれたらもっと頑張れたんだけど……」
「待って」
「待たないーい!」
夏樹は黒服たちから奪った特殊警棒を思い切り振り上げる。
――刹那、黒服の懐から携帯が鳴った。
だが、特に気にすることなくそのまま特殊警棒を振り下ろした。