作品タイトル不明
間話「ハッキングの神じゃね?」
由良夏樹が中学校で真面目に勉学に励み、七森千手が加座間源蔵と対峙している頃、「新たな神々」の「ハッキングの神」は由良家に侵入していた。
なぜかほっかむりを装備した、昔の泥棒のイメージを再現している。
中は欧州にいそうな金髪碧眼のイケメンなだけに、残念極まりない。
「ふふふ、由良夏樹。僕は力はないが、ハッキングの神としてパソコンから君の趣味嗜好を全世界にバラして精神的に追い込んでやる。僕のハッキング技術を知るといい!」
そう言いながら、音もなく由良家に侵入を成功させたハッキングの神は、夏樹の机の上に置いてあるノートパソコンを開く。
電源は入りっぱなしで、不用心なことにパスワードもかかっていない。
「いくら力を持とうと中学生か。甘いな」
ファイルの中を探していく。
最初に出てきたのは美脚だった。
続いて競泳水着をきたモデルさんたち。
そして、河童。
「……なんで河童?」
他にも、UMAの目撃談や、呪われた家、未解決事件の記事などが大量に出てくる。
「た、探偵さんかな? それともただの中学生かな?」
中学生になると、無駄に神話を調べたり、クラシックを聞いてドヤ顔したり、普段ならしないことに挑戦する自分がかっこいいと思ってしまう病にかかると聞いたことがある。
由良夏樹もその病にかかっている可能性が高いと見た。
「……しかし、由良夏樹が美脚好きであり競泳水着好きであることは新たな神々の中では周知の事実。これではハッキングした意味がない」
「いやいや、ハッキング要素ゼロだろ。侵入して人のパソコンを見るだけのどこがハッキングだよ? せめて、パソコンからパソコンのデータを吸い出すとかやってみろって。サタンさんハッキングの神がどんなハッキングするのかわくわくしながら見ていただけに、がっかり感が凄まじいんですけど」
「…………」
ハッキングの神は、冷や汗を流す。
背後から聞こえてくる声に、振り返ることができない。
(――バカな、魔王サタンはこの時間は買い物帰りにちょっとコーヒータイムを入れて主夫の休憩時間を楽しんでいるはず)
「とりあえず、こっち向けや」
「――はい」
くるり、と魔王サタンと向き合う。
彼は特に暴力に訴えることなく、知性的に会話を望んできた。
「それで? お前がこの家に入ってきて人のパソコンをのぞいた行為のどこがハッキングの神の力なの? サタンさんに教えてみ?」
「えっと、実は」
「実は?」
「正確に言うと、僕はハッキングの神ではなく、ハッカーに憧れて少年少女たちの想いから生まれたなんちゃってハッキングの神です。ごめんなさい」
「そうかそうか。なんでもありだなぁ、新たな神々は」
「はははは、そうなんですよ。困っちゃいますよね」
「はははははははは」
「はははははははは」
――この日、新たな神々が一柱消滅した。
〜〜あとがき〜〜
サタンさん「由良家の平和は主夫のサタンさんが守る」きりっ
小梅さん「きんもー。というか、夏樹のパソコンの中身は全部調査済みなんじゃがな。リヴァ子が嬉々としてやってくれたんじゃ。まだ明るみになっていない趣味もあって、まあ、なんじゃ、若いってええのう」
サタンさん「やめてあげてよぉ!」
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