軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

間話「まもんまもんと悩むんじゃね?」

――青森某所。

七つの大罪の傲慢を司る大魔族マモンは悩んでいた。

「さまたん、実はご相談がありまもんまもん」

一日の仕事を終えて、晩御飯を食べ終わったさまたんにエプロンを身につけたマモンが神妙な顔をして声をかけた。

「……相談っていいながら、また碌でもないことを言うつもりだろう?」

「そんなことありまもん!」

「どっちだよ!? 微妙にわかんねえよ!」

「失礼しまもんまもん。そんなことはありません、と言いたかったでまもんまもん」

「ならそう言えよ。それで、相談ってなんだ? 亜子ちゃんと上手くいってないってか?」

「いえ、さすがにそれはないでまもんまもん。先日も、亜子さんと一緒に……おっと、これは独り身のさまたんには刺激がまもんまもんですし、亜子さんとの秘密なので言えまもんまもん」

「うざすぎるだろ、こいつ」

言動もそうだが、言葉の中に「まもんまもん」が入っているせいで、うざさが倍以上に感じてしまう。

さまたんはまだ開けていなかった瓶ビールを開栓すると、グラスに注ぐことなくラッパ飲みした。

「お行儀が悪いでまもんまもん」

「魔族に行儀もクソもあるか! それで、相談ってなんだよ?」

「……まもん、実は――」

「――そろそろまもんまもんを引退しようかとおもいまもんまもん」

「――はあ?」

何を言っているんだこいつは、とさまたんは呆れた顔をした。

「……あのな、マモン。お前からまもんまもんを取ったら何が残るんだよ? ん? 言ってみ?」

「酷いでまもんまもん! この口調をやめたとしても、まもんまもんなこのマモンにはまもんまもんが残りまもん!」

「……今もまもんまもんを連呼しているのにやめられるのか? よしんば辞められたとして禁断症状の心配もあるし」

「さまたんはまもんまもんをなんだと思っているでまもんまもん!?」

「――まもんまもん」

「……そうで、まもんまもん」

まもんまもんはまもんまもんだ。

それ以下でもそれ以上でもない。

「はぁ。というか、どうしてまもんまもんを引退しようと思ったんだよ? どうせしょうもない理由だろ。言ってみ?」

「――実は、海よりもまもんまもんで山よりもまもんまもんな理由がありまもん」

「どんなまもんだよ! いいから言えよ!」

「先日のコメント欄で視聴者様からまもんまもんに飽きたから見るの辞めます、とまもんまもんなコメントがあったのでまもんまもん」

「……ひとりだけいたな。そういう捻くれ者が。無料の動画なんだ、別に飽きたなら見なきゃいいのに。というか、いちいち言ってくんなよ、面倒臭え――ん?」

さまたんが首を傾げる。

不思議そうな顔をして、マモンを見つめた。

「えっと、それだけ?」

「それだけ!? さまたんには大したことないのかもしれませんが、このマモンにとってはとても大きな大まもんでありまもんまもん!」

「――しょーもな!」

真面目に聞いて損した。

さまたんは残ったビールを全て飲み干した。

――後日、マモンはさまたんのことが嫌いでもまもんまもんのことは嫌いにならないでください、というよくわからない動画を出してバズった。

――安定の青森だった。