作品タイトル不明
34「新たな神々の企みじゃね?」②
新たな神々は由良夏樹を警戒している。
仲間にしようと考える一方で、亡き者にしてしまえと企んでいる。
最初こそ、魔力を持った中学生がどれほどの脅威となるのかと思っていた神もいた。
しかし、十天の中でも上位の力を持つ絶望の神と門の神を殺したのだ。
特に、門の神は、分体を経由して本体を斬り殺されたという人間を超えた力を見せつけられた。
これだけのことをされて警戒しない神はいない。
対して、由良夏樹に特に興味を示さない神もいる。
その筆頭が善行の神だ。
本人は悪行と言っているが、善行をすることに忙しい神は由良夏樹などどうでもいいのだ。
その気になれば、古の神々や魔族にとって代われるほどの力を持っていながら、戦いに興味がないのだ。
もう一柱、面倒臭いのが愛の女神だ。
複数いる愛の女神の中で、最も新しく生まれ、どこから現れたか不明であり、能力的に善行の神と変わらない実力を持つ。
だが、愛の女神は由良夏樹を気に入っている。
表だった接触は数える程度だが、常に動向を探り見守っている。
明確に新たな神々が由良夏樹と敵対したら、愛の女神も敵に回すことになるだろう。その前に由良夏樹を殺すことが、最善である。
由良夏樹の周囲には厄介な人間が多い。
人を超越した力を持つ安倍東雲、一流の霊能力者七森千手、神奈征四郎、青山銀子、安倍円。中学生ながら「何か」と契約している三原一登、あとなんか怖い佐渡祐介。
そして、魔王の娘ルシファー・小梅、ルシファー・花子もいる。
魔王サタン、七つの大罪の魔族リヴィアイアサンは表立って敵対はしないだろう。
そして、新たな神々を明確に敵視している月読命もいる。
はっきり言って、由良夏樹に関わることは良策ではない。
しかし、すでに関わってしまった以上、決着をつけなければならない。
――すべては太陽の神を解き放ち、古き神話を新たな神話で塗り替えるためだ。
祝福の神は、花粉症の神がいた痕跡を消しつつ、門の神に話し続ける。
「門の神、あなたは由良夏樹に対していくつか対策を立てていたようですが?」
「そうだよー。とりあえず、異世界に飛ばしても帰ってきちゃうことは前の門の神が証明してくれたから、違う方向から殺そうかなって」
「というと?」
「由良夏樹って、勇者なんだよねー。ならさ、あいつを異世界に送るんじゃなくて、異世界から勇者連れてきて由良夏樹にぶつければいいかなーって」
「ほう。同じ勇者であれば倒せる、ということですね」
「そういうことー」
「由良夏樹は人間なんだよねー」
「それは、知っていますが?」
「えっとねー。勇者だし、魔力も規格外だし、いろいろヤバい奴だけど、人間という枠組みの中にいるのは間違いないんだよ。だから殺しようはいくらでもある。ただ、よくわかんないけど力技でどうにかしちゃうからよくわかんねーって感じ」
「厄介であることは変わらないでしょうね」
「それは間違いないねー」
門の神は笑うが、祝福の神は笑えない。
一度、由良夏樹と合間見たが、正直、倒すのは難しいと思った。
ただ、不思議なことに、「倒せる」と思ってしまった。
しかし、本能が戦うなと全力で叫んでいる。
「他にも、由良夏樹のために亜空間を用意したんだ。そこに閉じ込める。何もない、無の世界に。何もなければ、あいつだって何もできないでしょ」
「……そうだといいんですが」
力を持っているとはいえ、中学生をこれほど警戒しなければならないことが信じられない。
祝福の神は、大きく嘆息しながらも、すべき仕事を全て終えた。
「さあ、一度帰りましょう。由良夏樹に関しては、できるだけ早く対策を実行したい。あなたに負担が多いですが、頼みますよ、門の神」
「はいよー。でもさ、約束は守ってよ」
「もちろんです。由良夏樹をはじめとした脅威を排除したら、あなたには何も頼りません。ゆっくりのんびりしてください」
「ならオッケー!」