作品タイトル不明
33「新たな神々の企みじゃね?」①
「門の神」は、「祝福の神」と一緒に「花粉症の神」の隠れ家を訪ねていた。
「あーあ、遅かったみたいだねー」
門の神は、間延びした喋り方をした少年だ。
どこか軽い雰囲気のある少年だが、今の彼は目が笑っていない。
「困ったものですね。幸せの神が表立って動き始めたという情報があったので、愚かなことをする前に釘をさしておこうとおもいましたが……まさか花粉症の神を殺しているとは思いませんでした」
祝福の神は、三十代のスーツに身を包んだ男性だ。
普段は温和な顔をしているが、今の彼の表情は嫌悪に包まれている。
彼らが言う花粉症の神は、UMAを新たな神々の勢力に加えようとした張本人であり、小梅たちと戦った神である。
敗北した彼女は力を取り戻すために年単位で静養が必要だったはずだが、幸せの神が会いにいったと聞き、「万が一」を考えて訪ねてみると、その万が一が起きていた。
散乱した部屋の中で、花粉症の神が絶命している。
彼女の表情は苦悶に満ちたまま亡くなっていた。
「門の神、お願いします」
「はいよ」
門の神が指を鳴らすと、花粉症の神の真下に門が現れ、開く。
花粉症の神の亡骸がゆっくりと門の中に落ちていった。
「それにしても、幸せの神は何を考えているのか」
「何も考えてないんじゃねーの?」
「同胞を殺しただけでは飽き足らず、力として取り入れることをした時点で関わりたくない神ですが……まさか花粉症の神まで手にかけるとは。我々の計画の邪魔になる前に殺しておいた方がよいかもしれませんね」
「……勝てれば、だけどね」
門の神の冷めた声に、祝福の神が言葉を止めて唇を噛んだ。
幸せの神は強い。
正直言ってしまうと、関わりたくないレベルだ。
強さもだが、仲間意識がなく、同じ「幸福の神」を殺して吸収した「異質」な神であることもあり、自分から近づく神はいない。
ただ、幸せの神も顔を合わせれば喧嘩を売ってくるわけではなく、基本的にはフレンドリーだ。
だからこそ、急変する幸せの神は怖くあるのだ。
「門の神よ。あなたは由良夏樹によって殺された門の神よりも力は上だと聞いています」
「あー、うん。得意分野こそ違うけど、単純な能力的なものなら僕の方が上かなー」
「あなたの能力を使い、幸せの神と由良夏樹を戦わせることは可能でしょうか?」
「うーん、そうだなぁ」
祝福の神に問われた門の神はしばし考える。
そして、笑った。
「できると思うよー。制限はいくつかあるけど、その上で大丈夫だと思う」