作品タイトル不明
32「加座間家の目的じゃね?」②
「不死って、またベタなことを。あんたの息子、馬鹿だろう?」
「かかか。はっきり言ってくれる。だが、言ったであろう。愚息だと、大馬鹿だ」
古来より、不死を求める人間は多い。
霊能力者でも一般人でも変わらない。
永遠の命。老いない身体を求める人間は少なからずいる。
「はい、千手さん!」
「なんだ、佐渡?」
「不死ってベタなの?」
「ベタすぎる。金や権力とかを手にしたバカが調子に乗ると、だいたい次は不老不死だ。そんなことできるわけがねえだろ」
「……そうなんだ」
「神々や魔族だって不死はいねえだろ。命っていうのは始まって終わりがあるから命なんだよ」
千手は不老も不死もごめんだと思っている。
今を全力で生きれば、それでいい。
過去に戻りたい、やり直したいと思うことは生きていればあるだろう。
しかし、先の未来をずっと生きていたいとは思わない。
「追いかけている漫画や小説の完結を見届けるまで死にたくはねえが、不死になりてえとも思わねえよ」
「かかか。老いることも悪いことではない。だが、時に、もっと長く生きることができればと思うことはあるのだ。それでも、わしも不死はごめん被る。このような世界で永遠と生きるのは……辛く苦しい」
「……僕には、ちょっと想像ができないかな。不死を願う気持ちも、不死をいらないという気持ちも」
「それが普通だ。ま、何をしても病気にならない怪我もすぐに治る身体なら欲しいが、都合よく死なない身体なんて手に入れても持て余すぜ」
生きるには金がいる。
食事も、眠るのも、娯楽も、すべてに金がかかる。
想像でしかないが、仮に不死となってもいずれ「飽き」が心を殺すだろう。
そんなものはごめんだ。
「――はい!」
「……川崎沙也加、なんだ?」
「…………」
「……ショタエルフ侍らせてえさん、どうぞ」
「はい! 私は、ショタっ子がいれば不老不死もいけると思います!」
「てめえの感想は聞いてねえよ! 知るか! あと、本名で呼ばれて返事しないのに、ショタエルフ侍らせてえで返事するとか、なんなんだよ一体!」
「魂の名前ですから」
「きりっとすんな! 由良みてえな奴だな!」
川崎沙也加の主張に力が抜ける。
彼女ならば、「飽き」に殺されることなく、不老不死を堪能するかもしれない。
「あんたが雇ってる使用人だろ。なんとかしろ」
「……孫には甘くなってしまうのよ」
「孫じゃねえだろ」
「もう源蔵おじいちゃんったら! 安心して、ちゃんとおじいちゃんの保護した人外ボーイたちは私がたっぷり可愛がって幸せにするから」
「……沙也加が幸せになるだけ、とはならんようにな」
「もちろん!」
「おい、待て。待て、保護? 保護って言ったか?」
保護、という言葉に、千手が待ったをかけた。
祐介も驚いている。
人外を集めている加座間家と保護という言葉がうまく結びつかなかったのだ。
「そういえば、しらなかったわね」
「あえて言うことじゃないので言っておらんが、加座間家は……少なくともわしまでは人外、または人外の血を持ち生活に困っている者を保護している。結果として、結ばれることもあるがな」
「……なんだそりゃ。結局、加座間家は、佐渡と同じ人外っ子好きってことか」
「否定はせんよ。野望も夢もある。その上で、我々は人とは違う力を持つ存在が愛おしい。恋焦がれている。だからこそ、実の息子であっても、許せんこともある」
「……あんたのバカ息子は不死を望む以外に何をしようとしているんだ?」
「ビジネスだ」
「ああ?」
「人外を国内国外の人間にコレクション、もしくは愛玩用として売ろうと企んでいるのだ」
千手は、祐介が鬼のような顔をしている気がした。
確認する勇気はなかった。