軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

26「やべえのとやべえのが揃ったんじゃね?」①

由良夏樹たちが青春の神と邂逅している頃、佐渡祐介は七森千手と共に「とある人物」と会うために、向島市内にある祐介が通う大学に足を運んでいた。

「とある人物」とは、「死の神」が関わっているであろう「加座間家」に潜入している「ショタエルフ侍らせてえ」さんこと「川崎沙也加」だ。

大学で会う約束をしたのは、第三者の目が多いところならば荒事にまでならないと考えたからだ。

千手としては、一般人を巻き込む可能性があるので渋い顔をしていたが、一般人を巻き込みたくないのは加座間家も同じだろうという判断を祐介がしたからだ。

最悪の場合は、祐介が勇者として戦うと強い決意と意志を秘めていたので、千手も納得した。

今の千手ならば、人が多い中でも狙った対象だけ「停止」することも可能だ。

やりようはある。

何よりも、大学内には入ってきていないが、虎童子がついてきている。彼女は鬼であるゆえに、万が一、加座間家に虎童子が目をつけられると困るのだ。

千手の心配を聞き、虎童子が「もうっ、ダーリンったらあたいのことを独り占めしたいなんて!」と喜んだのは言うまでもないだろう。

さらに向島市に来ていた神奈征四郎と神奈義政も同行してくれている。

虎童子と一緒に、大学前の喫茶店で待機中だ。

「それで、相手はいつ来るんだ?」

大学のカフェテリアの一角。

グレーのスラックスに、長袖シャツをラフに着こなし、足を組んでコーヒーを飲む千手は、サングラス越しに目だけで周囲を伺う。

無性に電子煙草を吸いたいが、禁煙だ。

代わりとばかりに角砂糖を口の中に入れた。

「ショタエルフ侍らせてえさんから連絡があったからそろそろ着くと思うんだけど」

ジーンズにパーカー姿の祐介がアイスティーを飲み、携帯の画面を千手に向けた。

そんな祐介に、女性たちが気付き「あ、佐渡くんだ! おーい!」と手を振るも、祐介は軽く会釈をするだけ。留学生と思われる女性も「ユースケ!」と祐介の存在を見つけて嬉しそうに手を振るが、やはり祐介は短く「どうも」と言うだけだ。

「……佐渡、意外とドライだな」

明らかに祐介に好意を抱いている女性たちから声をかけられているのに、彼の表情は動くことはなかった。

普段のテンションが無駄に高い祐介はどこに行ったのだ、と思えてしまう。

「人間の女性に興味はありません。僕にとって有象無象ですから」

「……ここまで突き抜けると逆にカッコよく感じるぞ」

黙っていればイケメンの部類に入る祐介は、女性に愛想がない。しかし、女性たちは祐介に好意を持っているようだ。

世の中、うまくいかないものだ、と千手は肩をすくめた。

(佐渡も由良と同じで興味がない奴にはとことん興味がないんだよな。まったく、勇者っていうのはどいつもこいつも個性的だな)

放り回される方はたまらない、千手がそんなことを考えていると、こちらに向かって真っ直ぐ歩いてくる女性がいた。

年齢は、祐介よりも年上だ。

黒髪をポニーテールにした彼女は、大きな瞳に強い意志を持っている。そんな印象を受けた。

「こんにちは。待たせっちゃったわね」

「――ショタエルフ侍らせてえさん!」

「久しぶりね、人外っ子プリンス」

「……あ、癖強い。もう話をしなくても癖が強いってわかった。俺、これからめちゃくちゃツッコむんだぜ?」