作品タイトル不明
7「円ちゃんとお買い物じゃね?」②
隣町の大通りには、ファストファッションの店舗やスニーカーショップ、レストランが並んでいる。
夏樹も買い物に一登と隣町に足を運ぶことは多い。
「とりあえず、服から買おか?」
「そうだね」
まずは、洋服からだ。
店舗に入ると、値段は中学生のお小遣いでも問題なく手を出せるラインナップなのだがおしゃれな服が並んでいる。
スニーカーこそ好みはあるが、服装は着たいものをきているだけであり、動きやすさ重視なのでちょっと敷居が高い気がする。
気後れした夏樹だが、円は気にせず店内へ。
「ほら、なっちゃん。どんなん服が好きなん?」
「う、動きやすいの? あ! 全力で新たな神々と戦っても平気な耐久性がほしいかも」
「……残念やけど、そこまでの耐久性はないやろうなぁ。あるんならボクがほしいわ」
「……残念」
「そういえば、スウェットパンツとか好きやったん?」
「好きと言うか、動きやすいからかな」
「ふーん、なら、こういうのはええんちゃう?」
円が手に取ったのは、ワイドサイズのスウェットパンツだった。
夏樹が受け取ると、さらっとした肌触りで着心地は良さそうだ。
ほどよく太いので動きやすさもあるだろう。
「こっちもええと思うよー」
ワイドカーゴパンツを渡される。
「素材や色がいろいろあるんだねぇ。おじさんちょっとわからないなぁ」
「……なんでおじさんなん? あんま気にいらへん?」
「ううん。いいと思うんだけど、着こなせるかなぁ」
「なんでも慣れや。なっちゃんは綺麗めな格好よりも、ちょっとアクティブな感じの方が合うと思うで。ボクがコーディネイトしてもええ?」
「お願いしまーす!」
夏樹がお願いすると、円は楽しそうに服を選び始める。
あっという間に、何着か選ぶ。
「ほな、これにしよ」
黒色のカーゴパンツ、デニム素材のカーゴパンツ、スウェットパンツのロング丈とショート丈に、オーバーサイズのTシャツ、薄手のセーター、パーカーだ。
夏樹が好ましいシンプルな組み合わせだが、普段夏樹が選ばないものばかりだった。
「……これ、似合うかな?」
「絶対に似合うと思うで。ささ、試着の時間や!」
「あーれー」
円に手を引かれて試着室に連れて行かれる。
試着室で、円とハプニングが――起こるはずもなく、普通に試着した。
夏樹は迷わず、円が選んでくれたものを全て購入を決めた。
「そうだ。選んでくれたお礼に円ちゃんも買う?」
「ボクはええよ。つい先日、星熊と熊に付き合わされて買い物した時に買ったんよ。あの鬼ども、ボクの金で好き放題買いよって……」
「こ、今度は俺を誘ってよ。付き合うからさ」
「おおきに」
おそらく星熊童子と熊童子に振り回されたのだろう。
肩を落とす円に「どんまい」と肩を叩いた。
夏樹と円は会計を済ませると袋を持って、スニーカーショップに向かった。
■
「……はぁあぁ、生きていてよかったっす。生き別れた男の子と男の子の幼馴染みが時を経て奇跡の再会をしてお買い物。――と、尊い」
「……まったく意味がわからん。思えば再会してからゆっくりふたりで過ごす時間がなかったんじゃから、そっとしておいてやろうとは思わんのか?」
「そっと見守ってるじゃないっすか!」
「……見守っとる奴は目を血走らせたりせんのじゃ」
青山銀子と、付き合わされたルシファー・小梅が少し離れた場所からこっそり夏樹と円を見守っていた。