作品タイトル不明
間話「さまたんとダンジョンの神じゃね?」②
――青森某所。
早朝。
「……昨日は変なのが来たせいで変な夢見て微妙な睡眠だった」
朝食前の畑仕事をするべく早起きしたさまたんは、身体のだるさを覚えながら、身支度を整えていく。
もんぺ姿となったさまたんが鍬を担いで家から出ようとする。
――が、玄関で足を止めた。
「……何かいやがる」
この気配は覚えている。
昨晩無遠慮に尋ねてきた「ダンジョンの神」だ。
「めんどうくさいなぁ」
渋々玄関を開けると、土下座した姿のダンジョンの神がいた。
「なーにやってるの?」
「おはようございます! 昨日は失礼をしてしまったので、朝イチで謝罪をしようと思って待っていました!」
「はいはい、わかったよ。謝罪は受け取るから、帰って。仕事があるから、ね?」
「お手伝いします!」
「…………」
「お手伝いします!」
「結構です」
「そう言わずに! お手伝いさせてください!」
(……こ、こいつ、うぜぇ)
よく見れば、十代の少年の外見をしている。
茶色い髪に、ワイドジーンズとオーバーサイズのトレーナーを身につけたその辺にいそうな少年だ。
どことなく、異世界召喚されそうな顔をしているのは気のせいだろう。
「わかった。私の負けだ。お前のうざさに負けた。相談に乗ってやるから、ちゃちゃっと相談内容を言ってみ?」
「いいんですか?」
「いいから言ってるの。私は仕事があるから早くして」
「では、遠慮なく! 昨晩も言いましたが、僕はダンジョンの神です。人間たちのダンジョンがなんで現代にないんだよって思いから生まれた、微妙な神です!」
「自分で微妙とか言っちゃったよ!」
「そんな僕は神として特にやることがないんです。地球にダンジョンないですし」
「そりゃ、そうだね」
魔界にはダンジョンがあったが、言わないことにする。
「なので各地を転々としながら人と共に生きていたんですけど、ふと思ったんです。ダンジョンがないならダンジョンを作ればいいじゃない、と!」
「……結論出ているじゃん。私に相談することってある?」
「ありますとも!」
「言ってみ?」
「ありがとうございます! ぜひ、この場所の地下にダンジョンをつくらせてください!」
「…………」
さまたんは沈黙した。
膝をつけたままお願いをするダンジョンの神は期待した顔をしている。
「それは相談じゃなくてお願いだろ!」
「そうでした! お願いします!」
「ちなみに畑はどうするつもりだ?」
「えっと、邪魔なので撤去しましょう!」
さまたんは花の咲いたような笑顔になった。
ダンジョンの神もつられて笑う。
そんなダンジョンの神に向かい、さまたんは手にしていた鍬を全力で振り下ろした。