軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

98「死の神がやばいらしいんじゃね?」

「はぁぁぁぁ」

月読は大きなため息を吐いた。

貴重な情報を得ることはできたものの、殺意が全開になっているふたりをどうすべきか悩む。

「とりあえず、祐介くんは落ち着こうねー!」

「クソ親父も静かにしてろ!」

月読が悩んでいる間に、夏樹と千手がふたりの背後にまわり、綺麗な手際で絞め落とした。

「お見事です」

つい拍手をしてしまう。

「……祐介くんのお怒りはわかるんだけどね。ちょっと、真面目な話をすると、月読先生的にも何か思惑はあるようだし、勝手に動いていいのかなーって」

「……由良、お前、思惑なんて難しい言葉使えたんだな」

「千手さん!? 俺は授業態度悪いけど、学力は平均以上だよ!」

「そこは誇るなよ! 授業態度もちゃんとしろよ!」

千手の言葉に、月読は強めに拍手をする。

ぜひ授業態度はしっかりしてほしい。

「お気遣いありがとうございます。できるのであれば、こちらから加座間家に手を出すことは控えたいです」

「神様的に人間をぬっ殺すのはちょっと抵抗ある感じですか?」

「……それもありますが、加座間家との関係性は不明ですが、死の神がいます」

「そういえば、そんな神がいるとか言ってましたね」

「死の神って名前だけでやばい予感しかしないのは、俺だけか?」

千手の声には緊張があった。

彼は月読を伺う。

「実を言うと、死の神は厄介です」

「……だと思ったぜ」

「人々の死に対する想いから生まれたのが死の神です。能力としては、単純です。――死を与えること」

予想はできていた。

そんな神が、加座間家と関係があるのかどうか不明なのが怖い。

十中八九なんらかの形で関わっているようだが、はっきりしないのには理由があった。

「先生、死の神が加座間家とつるんでいるのって、変なおっさんの記憶を覗き見してわからなかったんですか?」

「記憶を殺されていました」

「……なにそれずるい」

「しかも、わざと記憶を消す瞬間を残しながら、死の神が水無月俊平に何をしたのかだけを綺麗に殺しているのです」

「腹立つな。絶対ドヤ顔していたでしょう?」

「無表情でした」

「じゃあ、腹の中でこれでもかってくらいにドヤ顔しているはずだ!」

「……ドヤ顔はいいから、月読様のお話を遮るな、由良」

「ごめんなさい!」

静かになった夏樹と入れ替わるように、月読が言葉を続けた。

「正直に言うと、死の神について知ることはほとんどありません。ただ、死を与える神であることしかわからず、活動も何もしていなかった神です。だというのに、なぜ、急に動き出したのかがわかりません。いえ、もしかしたら、私が気づかなかっただけで以前から水面下で何かしらの動きがあっただけなのかもしれませんが……」

「死の神か。んん? でも死を与える神が、不死身なおっさんを作れるとは思わないんですけど」

「私もそう思います。不死を再現しようとして、再生能力を得ただけの人間なのでしょう。しかし、死の神にそのような力がないはず」

「とりあえず、不死身を自称するおっさんを殺してみません?」

「……い、一応、水無月家の人間です。都さんのお父上でもありますし、私としてはどうぞとは言えないですね」

「じゃあ、あとで茅さんとお話ししておきますね!」

「……キラキラした瞳で物騒なことを考えないでください。とにかく。死の神が未知数であることから、夏樹くんたちには不用意に戦ってほしくありません」

「へーきへーき! 神様だろうとなんだろうと」

「夏樹くん」

余裕だと言わんばかりの夏樹に、月読は静かだが威圧のある声を出した。

「――死の神は神々や魔族を殺せます。私も例外ではありません。どうか、油断しないように」