軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

97「加座間家の情報じゃね?」②

夏樹と千手は顔を見合わせた。

(――おかしい。いつもの祐介くんなら奇声をあげて規制されるような言動をするはずなのに)

(だよな。いつも佐渡なら、加座間家はもう火の海だ)

人外っ子大好き祐介が、落ち着いた様子で人外っ子が囚われていると話す姿は異様であった。

「やはり加座間家は黒か。ただ、どうして水無月俊平におかしな能力を与えたのか意味がわからん。そんなことをして加座間家にどんなメリットがあるのか」

「それはですね、千手さんのお父さん。――人で実験をしたかったようです」

「――っ、まさか、佐渡くん。君は、君の友人はそこまで調べたというのか!?」

「はい」

(……やっぱり俺たちの祐介くんじゃないよ。まだ綺麗な祐介くんだよ?)

(綺麗な佐渡でいいじゃねえかよ。怪鳥みたいな奇声をあげるいつもの佐渡よりマシだろ)

(マシだけど、マシだけどさ。俺たちの祐介くんじゃないもん)

(そうだな。少し、寂しくはあるな)

真面目なが話が繰り広げられている中、夏樹と千手は友が消えてしまったことに涙が出そうだった。

「ショタエルフ侍らせてえさんは、使用人として潜り込んでいるようなのです。割と、家の人たちは気さくのようで、お給料もいいようです」

「あの家は、外面はいいからな」

「あと、ショタエルフ侍らせてえさんが一般人であることをいいことに、堂々と話をしているみたいですね」

「なるほど。傲慢な加座間家らしい」

「そこで耳にしたようですが、どうやら加座間家は血が人外っ子で濃くなりすぎたようです」

「――なに?」

康弘が身を乗り出す。

月読も、静かにだが、耳を今まで以上に傾けている。

「又聞きなので詳細まではわかりませんけど、加座間家は代々人外っ子の血を取り入れているようですが、もう濃くなりすぎて、キメラ? のようになってしまったようです。取り入れ続けることはできるようですが、効果は薄く、むしろ今まで得た能力が弱まる可能性もあると。そこで、新たな力を使える人間を作り出そうとしたようです。その実験として、霊能力者に力を与えてみるという感じです」

「……これはきな臭くなってきたな。おそらく、水無月俊平はあれよこれよと煽られて、力を得たつもりになっていたようだが、いいように利用されたということか。愚かな。愚か者だとは知っていたが、愚かすぎる」

「これが一番まずいと思うんですけど、新しく力を使える人間を作る一方で、今度は優れた人間と自分たちを掛け合わせようとしているようです」

「――まさか」

月読が、察した。

祐介が頷く。

「その標的に、後ろ盾がない僕、夏樹くん。そして七森家から離れフリーになっている千手さんが狙われているようです」

「……なるほど。外から見ればそう見えるのですね。一番の危険地帯なのですが」

「僕はいいんです、僕のことは何をしても構いません! 千手さんはどうせとらぴーが守ってくれるでしょうし、夏樹くんなんて関わったら鏖殺ですから!」

「ちょっと祐介くん!?」

「俺たちのことなんだと思っていやがる!」

「だけどっ!」

ぶわっ、と祐介の魔力が吹き上がる。

月読が目を見開くほど、凄まじい魔力だった。

「人外っ子を捕らえ、あーんなことやこーんなことをやりたい放題の加座間家は――許さん! たとえ、お天道様が許しても、月が許さねえ!」

「いえ、月的に許せないのはそうなんですが、代弁されても」

「僕たちが必死に人外っ子を探している間に、捕らえ、いやらしいことをしていた加座間家はこの世界には不必要!」

「佐渡くん! 君の怒りはわかる! 私も、可愛い息子千ちゃんが加座間家に捕らえられてあーんなことやこーんなことをされると思うと、腹が煮え繰り返りそうだ!」

祐介と康弘ががっしり手を握り合った。

「というわけで……焼き討ちじゃぁあああああああああああああああ!」

「殴り込みじゃぁあああああああああああああああああああああああ!」

人外愛と息子愛に溢れるやばいふたりを加座間家は敵にした。

「あ、いつもの祐介くんだ! お帰りなさい!」

「由良だけじゃなくて、佐渡とも相性いいとか、どうするんだよ、このクソ親父は」

いつも通りの祐介に安心する夏樹が拍手をし、父親の知らぬ一面に頭痛を覚える千手だった。