作品タイトル不明
96「加座間家の情報じゃね?」①
「落ち着きましたか?」
「うっす! 落ち着きました」
「申し訳ねえ」
「ごめんなさい!」
月読と康弘が小休憩をとっている間に、夏樹たちは落ち着きを取り戻していた。
話をすることは多いのに、ボケが多いのでツッコミが追いつかないが、話を進めるしかない。
「それで、どこまで話しましたっけ?」
「月読様、確か……そちらの佐渡祐介くんのご友人のショタエルフを侍らせてえさんからの情報を聞く直前で話が止まっていますね」
「……よくショタエルフ侍らせてえさんのことを覚えていましたね」
「むしろ、インパクト強くて忘れられませんでした」
月読は康弘に感心した。
月読の脳は、「ショタエルフ侍らせてえ」という未知なる言葉を受け入れることができず、覚えていることができなかったのだ。
「では、佐渡祐介殿。詳細をお願いします」
「はい」
正座し背筋を伸ばした祐介が語る。
「僕や同志たちは、人外っ子がどこかにいると信じて探しているのがライフワークでした」
「…………はい」
そんなライフワークねえよ、と言おうとした夏樹は千手に口を押さえられる。
同時に、夏樹も無意識に突っ込もうとしていた千手の口を押さえた。
「つ、続けてください」
渋い顔をする月読だが、個人のライフワークに口を出すつもりはない。
「僕たちは、自称霊能力者的な人と接触し、見張り、本物かどうか見極めることもしていました。そこから本物の霊能力者がいれば、人外っ子がいると思ったからです。しかし、僕たちはあくまでも一般人。尾行がバレてしまい、黒服を着た怖いおじさんたちに追いかけられました。ふらりと現れた謎の中学生が、何善良な市民を追いかけてんだ、ああん? と助けてくれたので、事なきを得ましたが、それ以来、夢は夢なんだと割り切りました」
黒服を着た怖いおじさんを相手にできる中学生とは一体何者なのか気になるが、今はそこではない。
「諦めた僕たちに対し、ショタエルフ侍らせてえさんはずっと追い求めていました。――ふっ、諦めなければ夢は必ず叶う。彼女は見事に、人外と思われる存在を扱う家を突き止めたそうです。――それが、加座間家」
「すごいですね、佐渡くんのお友達は」
「ええ、自慢の友人です。ただ、彼女は悩んだそうです。裏方を知ってしまったものの、僕たちを巻き込んでしまってよいものかと」
祐介自身も、ファンタジーに遭遇し、ダークエルフの婚約者と出会ったものの、同志たちにそのことは言えなかった。
良いこともあるが、悪いことだってある。
場合によっては、命を落とすかもしれない。
そんな危険な世界においそれと友人を巻き込むことは躊躇われた。
「はい! 祐介くん! 質問です!」
「――はい、夏樹くん!」
「その人はなぜ祐介くんに情報をくれたの? 祐介くんがファンタジーって教えてないでしょう?」
「僕も気になったから、聞いてみたんだ。驚くことに、彼女は加座間家に潜入していたんだ」
「ショタエルフ侍らせてえさんすげぇ!」
「そんな加座間家で、夏樹くん、千手さん、銀子さん、水無月姉妹、そしてなぜか僕の名前が最近よくあがるみたいで、連絡をくれたんだ」
「……加座間家め。人の名前を勝手に呼びやがって、賠償と請求を!」
「どうやら相手には、俺たちのことが伝わっているみたいだな。俺が、まるっと変人どもにまとめられているのが不服だが」
どうやら加座間家は、夏樹たちのことを把握しているようだ。
夏樹たちも派手にやっている自覚はあるので、仕方がないとは思う。
「ショタエルフ侍らせてえさんが言うには、妖怪や、海外の魔物たちを積極的に捕らえて集めているって聞いたよ」