作品タイトル不明
92「加座間家のお話じゃね?」①
「あー、ごほん。それで、だ。金の力で加座間家はハーフを集めた。もちろん、霊能力者も。没落して借金を抱えた一族も珍しくはない。そんな人間に近づき、金を使い、血を取り込み続けた。そして、今、加座間家は見事に霊能力者だ」
「やばくなーい?」
「やばいよー!」
「由良とクソ親父が、ノリと相性がいいのが腹立つ!」
千手は頭痛を覚えた。
ただ、加座間家の悪い噂は千手も聞いたことはあったが、康弘のように深掘りするほど知識はなかった。
普段なら、ここまで聞けば関わりたくない、で話が終わるはずなのだが、きっとそうはならないだろう。
「――ただ、加座間家は満足しなかった。霊能力者になっても、中の下くらいの力では理想には程遠い。そこで、本格的に人外と関わり始めた」
「んん?」
「その噂は本当だったか」
首を傾げる夏樹に、千手は父の言いたいことを理解したようだ。
「加座間家は隠していないのが問題というか、なんというか。要は、人外とのハーフだけでは飽き足らず、人外そのものを取り込み始めた」
「それって……河童さんとの間に子供を。なんてスケベな!」
「妄想の翼を広げているところ悪いが、まず河童を取り込んでどうなるんだよ!」
「まず頭髪が」
「それはデメリットじゃねえか!」
「デメリットじゃないもん!」
「お、俺が毎日ヘアケアにどれだけ気を使っていると思っていやがる」
「千手さん、そんなことするなら、そもそも金髪にしなければいいのに」
「ぐっ、由良のくせに正論言いやがって!」
「なんか酷い!」
千手はブリーチとカラーをしっかりとした金髪だ。
今は二十代だが、いずれ三十代になれば若い頃のやんちゃを後悔する日が来るかもしれない。
「なっちゃんの言うように、人外との間に直接子供を作ることもしているようだが、それは問題ない。ほら、千ちゃんもとらぴーといずれ子供を作るじゃないか。それは悪いことかな?」
「とってもいいことだと思います!」
「ラブアンドピース!」
「ラブアンドピース! イェイ!」
「こ、こいつら」
夏樹と康弘が指でハートを作ってにっこり。
そんなふたりに千手が拳を固く握りしめたのは言うまでもない。
「加座間家がやべえと言われる所以は、血縁的な意味ではなく、もっと直接的に人外を取り込んでいることだ」