軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

間話「学校の神とトイレの花子さんじゃね?」

学校の神こと、萌乃萌葱は悩んでいた。

「――せっかく伝説の木を植えたというのに告白される気配がない!」

伝説の木の下で告白イベント待ちの萌葱だったが、告白されたことはない。

生徒からは「萌え萌え先生」と呼び慕われて、ハートをがっちり掴んだと自負しているのだが、まだイベントが起きていない。

「……英語の山崎レイチェル先生はとある生徒限定の放課後レッスンというイベントをしているようだが……何が違うのだろうか。どう思う?」

「トイレの花子さんにそんな相談されても困っちゃうんですけど!?」

校舎の奥の女子トイレ。

赤いスカートと白いブラウス姿のおかっぱ頭の少女――トイレの花子さんは、萌葱の相談に戸惑いを覚えているようだった。

「ていうか、その山崎レイチェル先生は、大丈夫なの!?」

「何がだ?」

「とある生徒限定の放課後レッスンよ!」

「さあな。誰一人として、放課後の教室の中で何が起きているのかわからないらしい」

「なにそれ、学校の七不思議!?」

「七不思議日本代表みたいな花子さんに言われてもな」

「私はどちらかっていったら、怪談枠だけどね!」

トイレの花子さんは、学校関連では絶対的な存在だ。

ある意味、新たな神々の学校の神よりもよほど神に相応しい知名度があった。

そんな花子さんはすべての学校ではなくとも、ほとんどの学校にいる。

中には、いくつかの学校を兼任している花子さんもいるのだ。

「ところで」

「なによ?」

「どうしてこんな校舎の奥のトイレでこっそりしているの?」

「…………私はトイレの花子さんとして結構古いのよ。多くの人間を脅かしてきたものよ。でもね、そんな私を捕まえようとするヤバい生徒がこの学校にいるの」

「……トイレの花子さんを捕縛してどうするのだ?」

「さあね。もしかしたら、同人誌よろしくひどい目に遭っちゃうのかもしれないわ」

「……それはいろいろまずいな。しかし、そんな生徒がいただろうか?」

萌葱は考える。

やんちゃな生徒はいるし、学校の七不思議を検証しようとして本物の怪異と遭遇していた生徒もいた。

しかし、トイレの花子さんを捕縛しようと企む生徒は今のところ知らない。

「名前は知っているわ。その子の友人が呼んでいたの」

ごくり、と唾を飲む。

「――由良夏樹よ」

「……控えめに言ってヤバい奴だ。花子さんとは長い付き合いだが、お別れのようだ」

「ちょっと!?」

何をしているのだ、と呆れると同時に、萌葱は遠からずトイレの花子さんが捕縛されるのだと諦めた。