作品タイトル不明
90「裏にいる奴がわかったんじゃね?」①
夏樹たちは、向かい合って話をすることにした。
「まず、前提として、水無月俊平は都さんのお父上であり、長い間出奔していました。実は七森家が匿っていたということですが、なぜ今になって動き始めたのか、なぜ死んでもおかしくない攻撃を受けて再生できたのか……なのですが、大丈夫ですか、夏樹くん?」
「オッケーです! 水無月俊平は俺が殺します!」
「そ、それは、あとで水無月家と話し合ってください」
「うっす!」
「元気の良い返事で何よりです」
夏樹の言動に慣れている月読と千手はスルーしたが、康弘は「最近の中学生こっわ」とちょっと動揺している。
「私は、新たな神々の中にいるという不死の神を探しています。その不死の神と水無月俊平が何か関わりがあるのではないかと探ったのですが」
「ですが?」
「まったく関係がありませんでした!」
「えっと、どんまいです!」
「ありがとうございます。まったくの無駄足というわけではないんですけどね。新たな神々が関わっていることは間違いないので」
「結局、新たな神々か。なんで向島市でやるかなぁ。もっと他でやってよ! 北極とかで! そうすれば、俺もわからないし!」
「由良、北極熊さんに迷惑がかかるだろう!」
「千手さん……でもね、俺だって知らなきゃ何もしないの! イベントさんだって、さすがに北極で俺をイベントに巻き込めないでしょう!?」
「……朝起きたら北極にいるパターンもあると思うぜ」
「風邪ひいちゃうんじゃん!」
「風邪じゃすまねえよ!」
千手の言う通り、どこでイベントが起きようと、なんやかんやあって夏樹は巻き込まれそうだ。
「問題は、新たな神々だけではないということです。人間も関わっています」
「うわー、面倒だなぁ。――これは殴殺するかありませんねぇ」
「話を遮るな! 申し訳ありません、月読様」
「いえ、いいんです。私も少々重く話してしまっていますので、空気が軽くなってよいことです。……多分」
人間が新たな神々と関わることは別に問題ではない。
中には人に紛れて人として暮らしている新たな神々もいる。
古き神々も魔族も、人間社会に紛れて生活をしている。
月読だってそうだ。
ただし、人間を不用意に「こちら側」に引き込むことは駄目だ。
一般人を霊能力や魔法に関わらせることではない。
人間を新たな神に関わらせることだ。
正体がバレたのならいいだろう。
親しくなったゆえに、正体を明かしたのであるのなら構わない。
しかし、人間に力を授けてしまうのは問題行為だ。
以前、愛の女神こと愛ちゃんが、三原優斗に力を授けているが、それも月読にとっては問題行為である。
ただ、本人が問題解決をしようとしたこと、あとで手紙で「めんご!」と謝罪したこと、もともとあった三原優斗の力が愛の女神の力を使えなかったことなどから、今後の行動次第としている。
「今回の一件に関わっているのは、十天の中にいる死の神です。そして、人間側は、加座間家です」
夏樹はまた面倒な神が出てきたなと嫌な顔をする。
千手も同じだ。
ただ、康弘だけが、神にではなく人間側に反応した。
「よりによって加座間家か……あの家はいろいろまずい」