軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

74「変装ってある意味本当の自分を曝け出すんじゃね?」

「はぁー、はーっ、はぁぁーっ! めっちゃ疲れたっす! 何が疲れたかって、肩車しながら戦うの初めてでしんどいっす!」

銀子ははぐれ霊能力者をすべて倒して息を切らしていた。

いくら雑魚枠とは言え、やはり皆殺しにするわけにはいかないので、力をセーブしながら戦ったものの、さすがに三十人は数が多すぎが。

「私も手伝ってあげたでしょう?」

「それでもっすよ!」

星子は銀子の肩に乗ったまま、器用に雷を放ってはぐれ霊能力者を無力化していた。

ただ、やはり、彼女は夏樹と一緒だからこそ力が出せるようだ。

おかげで死者が出なかったとも言える。

「て、てめぇ……どこのモンだ」

「そんなこと聞かれたのは初めてっすよ。私は銀子ちゃん! 可愛い可愛い警察官っす! きゃは!」

「……え? 気持ち悪い」

「……自分もちょっと今のはないかなーって思ったっす」

本気で顔色を悪くした星子に、銀子も同意した。

「ま、とりあえず、あなたの知っていることを教えてもらいましょうっすね。情報を吐かせるために、水無月俊平が何を企んでいるのかちゃっちゃと吐いてもらうっす」

「て、てめぇ、まさか院の回し者か!」

「警察って言ったじゃないっすか!」

「お前みたいな警察官がいるか!」

「……いいっすよ。そういう態度なら、とりあえず、小指からいくっすね!」

「斬るの!?」

「折るんっすよ!」

「どっちもやめてぇ!」

裏路地にはぐれ霊能力者の叫び声と、骨を折る音が響いた。

(小梅さんと花子さん……の心配は特にしてないんすけど、始末書が増えませんように!)

銀子は祈りながら、はぐれ霊能力者の指をもう一本へし折った。

花子と小梅は勢い任せでビルに乗り込んだ。

壁を破壊し、轟音を立ててビルの中へと侵入する。

「な、なんだ、なんなんだよぉ!」

情けない怯えた声が響く。

「この気色の悪い声は聞いたことあるわね。この声の主が、変質者よ!」

「ほうほう、そこの気弱そうに見えて実は何も考えとらん間抜けな顔をしとるのう! よくもまあ、こんな男から都のようなしゃんとした娘が生まれたもんじゃ。水無月茅の遺伝子の強さに感謝するとええぞ!」

花子と小梅は、驚きに固まっている霊能力者たちを拳で潰していく。

四人ほど床と壁に叩きつけられて気絶すると同時に、フロアにいる霊能力者たちざっと二十人がふたりに襲いかかる。

だが、敵ではない。

裏稼業として霊能力者をやっている者は、正規の仕事ができない訳ありや、大して実力のない一般人よりも腕っぷしがある程度だ。しかし、たまに実力がある者がいる。

それでも、ルシファーの名を持つ天使ふたりを前に、勝てるはずがない。

「俺様を傷つけたければ、あと千人くらいは連れてくるんじゃなぁあああああああああああああああああああああ!」

暴風の如く暴れ回れながらも、確実にひとりひとり沈黙させていく。

「次はおどれじゃ! なんじゃ、その左腕に包帯ぐるぐる巻きよって! そのサングラスといい、厨二病全開の七森千手の友達じゃろ……う?」

「……姉さん、そりゃないぜ」

小梅の拳が男の前でぴたりと止まった。

男は悲しげな顔をして、サングラスを外す。

フリーランスの霊能力者、七森千手がそこにいた。

「ちなみに俺は厨二病じゃねえ! これは潜入用の変装だ!」