作品タイトル不明
71「お昼にオムライスを食べると天下取った気がしね?」
――由良家の茶の間。
小梅と銀子、星子と菜々子はサタンが作ったオムライスを食べていた。
ちなみにリヴァ子は寝ている。
「……なんで私って夏樹の学校について行かなかったのかしら」
そう呟いたのは星子だった。
彼女は、蒼穹の星槍という数多の星を破壊した聖槍だ。
現在は、実体化しているが、姿を消すことなど造作もない。
「そりゃ、星子さんが春子ママさんと一緒に夏樹くんを見送っちゃったからっすねぇ」
銀子の言葉に、星子が唇をへの字にしてケチャップを思い切りオムライスにぶっかけた。
「ああっ、せっかくハートを描いてあげたのに消えちゃった!」
悲鳴を上げたのはサタンだ。
魔王であるはずの彼は、すっかり由良さん家の専業主夫だ。
「春子お母さんが我が子のように接してくれるから、つい……。夏樹も夏樹で普通にいってきますって行っちゃったし」
「追いかければいいじゃない」
「それはめんどい」
オムライスをモリモリ食べていた菜々子の意見に、星子はきっぱりと返事をした。
「めんどいって……それでええんか? おどれは一応は夏樹と契約しとるんじゃろう?」
「夏樹が私を必要とすれば、距離なんて関係ないわ。昨日まではゴッドの空間にいたから呼ばれても行けなかったけどね」
「便利じゃのう。じゃったら、別に学校について行かんでもええじゃろう」
「暇なのよ!」
「……それはわかるんじゃ!」
小梅は日中、暇を持て余している。
春子やサタンに頼まれて買い物に出かけることあるが、基本的にはのんびりしている。
銀子は暇そうで、意外と報告書を作っている時間が長い。なんでも、夏樹たちが何かイベントに巻き込まれるごとに報告書が増えるらしい。
サタンは、言うまでもなく主夫として忙しかった。
「俺様もこのままじゃ由良さん家のニートになってしまうんでのう。水無月家に頼んで、仕事を回してもらうように頼んだんじゃが」
小梅のお願いに、水無月家当主、水無月茅は「よろしいのですか!?」と驚いたのは言うまでもない。
なんでも、魔王の娘にして「ルシファー」である小梅に仕事を頼むとは恐れ多いらしい。
小梅としては、姉が世話になっているし、都と澪とはなんだかんだと親しくなったので、気にしなくていいのだが、人間側は難しいようだ。
ただ、仕事は割り振ってくれるようで、待機中だ。
人間の霊能力者が対応する案件ならば、小梅の力を持ってすれば余裕であろう。
――力技で解決できること限定ではあるが。
「――ん」
オムライスを食べ終えて、麦茶を飲み干した小梅が玄関に視線を向けた。
同時に、チャイムが鳴る。
「はーい。どちら様ー?」
サタンがぱたぱたと玄関に向かった。
「いや、花子お姉ちゃんが来たことくらい力と気配で気づくじゃろうて。なんで宅配便が来たみたいなノリであのおっさんは玄関に向かったんじゃ?」
「さあ?」
ちょっとして、ブランドもののジャージを身につけた花子が茶の間にやってくる。
「こんにちは! 小梅、銀子、そこの少女たち! 暇そうだと思ったから誘いに来たわ! ――変質者退治にいきましょう!」