作品タイトル不明
68「屋上って割と立ち入り禁止だよね?」①
「まったく酷い目に遭ったよ!」
「……俺はサタンさんのいうことは真っ当だと思うんだけどなぁ」
「……杏もそう思うよ?」
昼休み。
屋上でおむすびをもしゃもしゃ食べながら、夏樹は一登と杏へ愚痴を吐いていた。
朝。結局夏樹は魔王サタンから逃げることができず、周囲に助けを求めた。
しかし、近所の人たちは、「なっちゃんとサタンさんは朝から元気だねぇ」と笑って手を振るだけ。
「裏切られたぁああああああああああああああ!」と夏樹が絶叫している間に、捕縛されてしまった。
「サタンさんったら、本当に映画に出てきそうな拘束衣をつけたんだよ! びっくりだよ! しかも、何か呪具みたいになっていて、拘束を破れなかったんだよ!」
「……夏樹くんが破れない拘束って」
「……やばいよね」
夏樹は泣いた。
注射が嫌いな子供が病院に行きたくないノリでおいおい泣いた。
泣いて泣いて泣きまくってサタンがドン引きするほど泣いて、「つ、次はないからね!」と折れるまで泣いた。
「サタンさんには泣き落としだね!」
「……勇者が魔王に泣き落としとか」
「なんかやだなぁ」
「ちょっとさっきからサタンさん側だね! おふたりさん!」
「だって」
「ねえ?」
一登と杏は夏樹の方が悪いと言わんばかりの目をしていた。
これには夏樹もたじろぐ。
「……そうやって勇者はいつだって迫害される!」
よくわからない悲しみ方をしていた夏樹だったが、けろっと表情を変えると、
「そういえば、レベルアップの件だけど、勇者だからみたい。もしくはギャラクシー系」
「もしくはギャラクシー系!?」
「ま、待って、お兄ちゃん、どういうことなの!?」
急に話を変えた。
そんな夏樹に、一登と杏が目を白黒させる。
「勇者案件なの? ギャラクシー案件なの、どっち?」
「ま、待ってよ、ギャラクシー案件ってどういうこと!?」
「……そういえば、杏は知らなかったね。夏樹くんはギャラクシー河童勇者なんだ」
「それは知ってるよ!? ギャラクシー案件って、河童さん案件なの!?」
「河童勇者であるのは、ギャラクシる前だね」
「ギャラクシるってなに!?」
混乱する杏に、一登は丁寧に説明した。
「河童を愛する勇者由良夏樹は宇宙に行ったことで感銘を受け、ギャラクシー河童勇者になったんだ!」
「一登!? どうしちゃったの!? 意味わかんないよ!? ていうか、前も言っていた気がするけど、本当に宇宙に行ったの!?」
「いったさ!」
「――――地球はきっと青かった」
「どうして宇宙に行ったのに、きっとなの!? ちゃんと青かったか教えてほしいな!」