作品タイトル不明
57「設定の時間じゃね?」②
「ぷへっ、なにするっすか、急に!?」
「急にはおどれじゃぁああああああああああああああああああああ! なんちゅー名前を考えるんじゃ! 漢字はさておき、読み方をなぜそっちに寄せようとしたんじゃ!? 銀子のような人間がおるからこの世界から悲しみがなくならないんじゃ!」
「そこまでいいますか!? ……良い名前だと思ったっすけどねぇ、満」
「じゃから言うんでないぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!」
中学生の男子生徒でも、外では決して言わないような言葉を平気な顔をして言って見せる銀子に、夏樹と一登は勇者でも見るような目を向けていた。
杏は、銀子の言動に、顔を赤くして俯いてしまっている。
ゴッドでさえ、「うわぁ」と言っていた。
「え? え? どういう意味?」
わかっていないのは、もう少しで命名されそうだった満天の星槍だ。
蒼穹の星槍改め星子が、彼女の肩をぽんと叩く。
「知らなくていいのよ」
「どういうこと? え? 何か大きな問題が起きた気がしたんだけど、気づけかな私が悪いの? ちょっと説明してくれる?」
「お子様は知らなくて良いことよ」
「お前と私は同い年だろう!」
「いいから、いいから!」
星子は無理やり話を終わらせた。
「ちょっと、そこの頭腐った女!」
「星子さん、その言い方やめてくれませんか!?」
「大人なんだからもっとしゃんとしなさい」
「……なんでっすかねぇ。今、心から涙が流れた気がするっす」
銀子は胸を押さえてどこか苦しそうだ。
しかし一同はスルーした。
「はい!」
「はい、そこのネーミングセンス悪そうな勇者!」
「……小梅ちゃん、挽回のチャンスをください」
「ええじゃろう! 言ってみるんじゃ!」
「任せてよ! 満天の星槍さんは名無さんとも名乗っていたからね。そこから考えて、奈々梨子さんってどう!」
「な、が多いんじゃ! せめて名無子さんとかでええじゃろう! どうして梨を足したんじゃ!? おどれはネーミングセンス壊滅で決定じゃ! ウチの親父とゴッドと同じじゃ!」
少し離れた席でゴッドが「――え?」と心から驚いた声を出したが、誰も気にしなかった。
リリスは何か思うことがあるのか、納得するように頷いている。
「そ、そんな、馬鹿な」
「じゃあ、やっぱり満」
「じゃーかーらー、銀子は黙っとれ! あー、もう、名無しから取るならちょっと捻って菜々子でええじゃろう!」
「小梅ちゃん! 名無さんから菜々子ちゃんというのはちょっと安直というか」
「黙れ小僧!」
「ぴえっ」
「話が進まないじゃろう!」
怒られた夏樹がしょんぼりする。
「どうじゃ。暫定というか、ピュアや次男なのに三郎よりはええ名前じゃと思うんじゃが?」
小梅が満天の星槍に聞くと、彼女はしばし口の中で小さく「菜々子、菜々子」と呟くと、「うん」と頷く。
「割と気に入ったわ。私は菜々子。それでいいわ」
「ええ子じゃ!」
小梅が満天の星槍こと菜々子の頭をわしゃわしゃと撫でた。
「ちょっと、子供扱いしないで」
「何を言っとるか! 子供じゃろうて!」
こうして、蒼穹の星槍が星子、満天の星槍が菜々子として名前が決まった。
「戸籍に関してはお任せくださいね。ゴッドパワーでぴゅぴゅっと作っておきますから。ところで苗字はどうしましょうか? あ、星崎とかいいですね。はい、決定!」
「ゴッド!? 勝手に苗字を決めるなんて! ずーるーいー!」
「ふふふっ、ゴッド権限です!」
「じゃあ俺もゴッドになる! ギャラクシー河童ゴッド!」
「そんなゴッドはなんか嫌ですよ!?」
夏樹が相変わらず後光が眩しくてどのような顔をしているのかわからないゴッドに詰め寄る。
みんなが賑やかな喫茶店の中を眺め、星子と菜々子が笑う。
「まったく、あんたたちは相変わらずね」
「この世界は楽しそう」