作品タイトル不明
55「花粉症の神と幸せの神じゃね?」②
「――不死の神ですって。あんた何を考えているの?」
花粉症の神が、無意識に震えたのを幸せの神ことハッピー・幸子は見逃さなかった。
「何をって、月読命が血眼になって探している神がいるのなら、ちゃんと把握しておくべきじゃんってこと!」
「……それだけじゃないように見えるけど」
「嫌だなぁ。僕たちって仲間じゃん! なんでそんなに警戒しちゃうのかわかんない!」
「あんたみたいに何を考えているのかわかんない神、警戒するに決まっているでしょう」
花粉症の神は強い。
強いが、今は弱っている。
戦う必要がない花粉症の神と幸せの神であるはずだが、花粉症の神は警戒してしまう。
警戒を解いた瞬間、殺されてしまうのではないかという恐怖さえある。
まともに幸せの神と戦ったことはないが、勝てるかどうかわからない。
花粉症の神は、幸せの神ほど「おかしくない」のだ。
「ぶー! 僕たちって仲間じゃーん!」
「同じく生まれた神を殺しておきながらよく言う」
「殺したんじゃないもーん! 一緒になっただけだもーん! みんなはね、僕の中で生きているの! なーんてね!」
もともと不愉快な言動が目立つ神であったが、ここまでだったか、と花粉症の神は幸せの神に不安を覚えた。
先日、月読命と接触しながら見逃された件を気にしていると、聞いている。
プライドが高い幸福の神は、古き神々を下に見ている。
見ているからこそ、「見逃された」ことが我慢できないのか。
そこまで考えて、花粉症の神が思考をやめた。
――考えるだけ無駄だ。
そう判断した。
「それでそれで、不死の神ってどこにいるの?」
「知らん」
「えー、嘘っぽーい!」
「嘘などつくか、貴様じゃあるまいし」
「いやいや僕ほど嘘と無縁の神様もいないよ!」
「よく言う」
嘘は確かにつかないかもしれないが、口八丁で人間を破滅に導いているのが幸せの神だ。
いくつか分体を放って様子を見ているが、分体の方が本体よりも性格も行動もマシであることを知っている。
「僕ね、考えたんだよ」
「なにを、突然?」
「どうすればみんなを幸せにできるかなって。ずっとずっと考えていてね、いろいろなことを試して失敗ばかり。でもね、思いついたんだ」
とても良いことを考えたとばかりに、幸せの神が破顔した。
「――みんなを不死にすればいいんだよ!」