作品タイトル不明
53「星槍さんの帰還じゃね?」
「――私は帰ってきたわ!」
桃色の髪をツインテールにしてセーラー服を身につけた幼い少女、聖剣さん改め星槍さんこと、蒼穹の星槍はなぜかボロボロの姿でガッツポーズして現れた。
「おのれ、この恨み忘れない」
星槍さんの足元では。やはりボロボロになったブルマを装備した幼女こと、名無しが膝をついて悔しげにしている。
名無しは仮の名であり、本来は満天の星槍である。
ふたりは姉妹のようによく似ているが、実際は、ひとつの力がふたつに分かれているのだ。
片方は、大半の力を失いながら形を剣と変え、使い手を待っていた。
もう片方は、力を失いながら、封印されていた。
「くはははははは! 負け犬の遠吠えが心地いいわね! これで、合体した時に表に出るのはこの私よ! さあ、夏樹! あんたのヒロインを全力で出迎えなさい!」
喫茶店で高々と笑う星槍さんだったが、使い手にして相棒であり契約者の由良夏樹の姿がなかった。
「あ、あら?」
「大変申し訳ないんですけど、夏樹くんはアマイモンさんと一緒にちょっと外に行っているんです」
一登が申し訳なさそうに夏樹の不在理由を伝えると、プルプル震えた星槍さんが叫んだ。
「いやぁあああああああああああああああああああ! ショタ魔族に夏樹を寝取られたぁああああああああああああああああああああああ!」
「くぉら! アマイモン様を特殊性癖にするんじゃねえよ! アマイモン様はなあ、初々しい少年少女の恋愛を影から見守るのが好きなだけな無害な方だ!」
「なにそれ覗き趣味なの!? きも!」
「ぷっちーん! このガープ、大概のことなら笑って許せるナイスガイだが、アマイモン様を馬鹿にされたら許せねぇ! 表に出ろや!」
立ち上がって睨みつけるガープに、星槍さんも負けずに睨み返す。
「いいわよぉ! 外に出た瞬間、助けてぇ、この人が乱暴するのって叫んで社会的に殺してやるわ!」
「ちょ、待って、落ち着こう? ガープさんね、ちょっと言いすぎたかもしれないかな。うん。誰にでも間違いはあるからね、平和的に話をしよう。戦いは何も生まないんだ」
社会的に殺されることはさすがのガープも嫌だったようで、勢いがしぼんでいく。
「ふん。最初から、そうしていればいいのよ。それで、甘いマモンだかなんだかわからないマモンのパチモンと夏樹はどこに行ったのかしら」
「それなら」
一登が夏樹がいくであろう場所を告げようとした時、からん、と喫茶店の扉についているベルが鳴って夏樹とアマイモンが戻ってきた。
「おっ! 星槍さんと名無しさんじゃん! ようやく帰ってきてくれたんだね!」
「夏樹!」
夏樹と星槍さんは涙を流し、再会を祝った。
「よかった! 最近、イベントさんが俺と強いやつを戦わせようとするんだ! 星槍さんがいないから、俺、思うように鏖殺できなかったんだよー!」
「もうっ、夏樹ったら。本当に私がいないとダメなんだから! べ、別にあんたのためじゃないけど、力を取り戻した私の力で鏖殺を手伝ってあげてもいいんだからねっ!」
「ツンデレあざーす!」
ひゃっはー、とハイタッチする夏樹と星槍さん。
「いえ、あの、地球で鏖殺はやめてくださいね?」
言動から危険しか感じない夏樹と星槍さんに、ゴッドは声を震わせた。