軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

間話「ケヴィンのその後じゃね?」

「なんか違うんだよなぁ!」

天使食堂を営むアルフォンス・ミカエルは、大天使ミカエルの息子である。

そんな重要な立場はさておくとして、北欧で料理修行をして、料理三番勝負を勝ち抜き、北欧の女神ノルン三姉妹とラブコメった英傑である。

そんなアルフォンスは、絶賛頭を抱えていた。

「やっぱり大型バイクには岡持ちが壊滅的に似合わないし、危険な気がする」

「やっぱり難しいですかねぇ」

しゃがみ込むアルフォンスの隣には、首なしライダーのケヴィンがいた。

困ったような声を出している気がするが、首がないので彼の表情はわからない。

先日、夏樹たちと邂逅した首なしライダーケヴィンは、アルフォンスに丸投げされた。

しかも、その理由が「バイク乗れるなら出前できるんじゃね?」というあまりにも適当な理由だった。

とはいえ、生来面倒見の良いアルフォンスは、廃トンネルで寂しく暮らしているケヴィンの事情を知り、同情してしまった。

幸い、部屋は空いているので、住まわせてやることを決めたのだ。

このアルフォンスの男気に、ノルン三姉妹がときめいたのは言うまでもない。

同居人にして従業員の小林蓮も、ケヴィンとのファーストコンタクトは驚いたものの、話してみたら相性はよかったようで、「ケヴィンさん」「蓮くん」と呼び合っている。

それで、問題はケヴィンの仕事だ。

働かざる者食うべからず、とアルフォンスは言うつもりはないが、ケヴィンが働かせてくれと願ってきた。

アルフォンスとしては、開店前の準備、開店後の掃除の手伝いなどをしてくれればいいくらいに思っていたのだが、ケヴィンはもっと役に立ちたいと言ってくれたのだ。

その想いを汲もうと考えるも、首がない以上、客の前には出せない。

人間以外だけが来るのであれば、接客させてもいいが、大半の客が人間なのだから、首なしライダーほど接客に向いていない種族もいないだろう。

――向島市の人間ならば、首なしライダーくらい受け入れてしまいそうで怖いが。

それはそれとして、神々や魔族は不必要に人間に人間以外の種族がいることを教えないようにと言う暗黙のルールがあるのだ。

守っている者はあまり多くはないのだが、アルフォンス的には人としてみんなと接したいので、ケヴィンの存在を表に出したくはなかった。

「……ヘルメットを無理やり装備させて、出前ならなんとか行けると思ったんだが。大型バイクがあまりにも使えないじゃないか」

「申し訳ないです」

「いや、お前が悪いとは言わないんだがな。もっと小さなバイクにすることってできないのか?」

「どうでしょう。僕が首なしライダーになった時から、ずっとこのバイクなので……変えようと思ったこともありませんし」

「だよなぁ」

せめて原付ならば、と思ってしまうが、首なしライダーのバイクが原付というのも何か嫌だ。

どうするものかと悩んでいると、蓮が原付バイクを押してきた。

「アルフォンスさん! ケヴィンさん! いいものもらってきたよ!」

「蓮! おまっ、なんてちょうどいいタイミングでカブを! しかも、岡持ちつきじゃないか! どうしたんだ、それ?」

「自転車屋さんのおじさんが倉庫で眠っていた呪いのカブをくれたんだ!」

「…………呪い?」

「うん。三回に一回、岡持ちを開くと生首が入っているらしい」

「ガチの呪いじゃねえか!」

「たまに変顔しているみたい」

「それはそれでどうなんだろうね!」

「でも、燃費がめちゃくちゃ良いらしいよ」

「それは普通にありがたいね!」

――後日、呪いのカブに跨り出前をするケヴィンの姿があった。