軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

37「オチが怖すぎじゃね?」

「というわけで! 無事に首なしライダーさんを仲間にしました!」

「……先生もさすがにその展開は予想していなかったぞ」

朝の職員室で、夏樹は権藤の元を訪れて首なしライダーに関する報告をしていた。

「ケヴィンも話してみると、悪いやつじゃなかったんです」

「……待て、首なしライダーはケヴィンさんと言うのか?」

「はい。記憶がないそうで、名前も拾ったエロ本から拝借したそうですよ」

「……先生な、教師生活、いや、それなりに生きていろいろな経験をしているが、由良の一日ほど濃い日常は送ったことないな」

「はははは、権藤先生意外と面白いこと言うんですね。首なしライダーとエンカウントするくらい、普段のイベントに比べたらちょっとコンビニ感覚です」

「先生、由良のこと本当に、本当っに心配なんだがな」

力を入れて心配だと言う権藤だが、夏樹は彼の言葉の意味を理解せず笑顔のままだ。

「しかし、私のせいですまなかったな。怪我とかはしていないか?」

「怪我はしていないです。しても回復魔法があるので大丈夫です!」

「……なんでもありだな」

「なんでもってことはないですよ。死ななきゃなんとかなりますけどね!」

屋上で水無月都を真っ二つにして慌てて回復魔法を使ったことはきっと言わない方がいいだろう。

「それで、だ。報告してくれたのは嬉しいんだが、その首なしライダーのケヴィンさんは、害がないってことで大丈夫なんだろうか?」

「うっす!」

「……軽いなぁ」

「仮に害があるようだったら、ちゃんとアフターケアでぶっ殺しておくんで!」

「……殺伐しているなぁ」

「それに、天使さんが預かってくれているんで、問題ないと思いますよ」

「たまに疑問なんだが、向島市って……何がとは言わないがいろいろ規格外な気がするのは気のせいだろうか?」

「俺は他の街を知らないんでなんとも言えないんですけど……こんな街が二つも三つもあってたまるかって感じですよね!」

権藤の感覚はまともなようで夏樹は安心した。

ファンタジーの住人が無駄に多い向島市に疑問を持ってくれる人は貴重だ。

「というわけで、首なしライダーさんに関しての報告っす!」

「ありがとう、由良。妻も少し怖がっていたので、助かる」

「いえいえ。んじゃ、俺は」

「待て、由良。月読先生がお話があるそうだぞ。なんでも、いくつか破壊行動をしたようじゃないか」

「……ナンノコトデショウカ」

「私が話をしたせいもあるので、あまり厳しいことを言わないように月読先生には言っておいたが、すまんな」

「うっす! お気遣い、あざっす!」

夏樹は権藤に礼をすると、職員室の奥に続く部屋の前で手招きしている月読のところに肩を落としながら向かった。

「おはようございます、月読先生」

「はい。おはようございます、夏樹くん。昨晩は楽しかったようで何よりです」

「いやぁ、普通に怖かったですよ! 俺、ホラーは好きですけど、実際に体験したいかって言われたらしたくないんですから!」

「……君にも苦手なものがあったんですね」

「そりゃありますよ! 俺をなんだと思っているですか!?」

月読に促されて部屋の中に入った。

椅子に座った夏樹の前に、月読も座る。

「権藤先生の顔を立てて、あまりくどくど叱るつもりはありません。ですが、電話ボックスを破壊と、山の一部を破壊するというのはよろしくありませんね」

「……うっす」

「山に住む精霊や、小さな神々から苦情がありました。寝ているところをびっくりさせないでくれ、と」

「あれ? そっち?」

「そっちです。彼らは長く生きているので、山が少し形を変えるくらいはよくあることです」

まさか騒音の方で苦情がくるとは思わなかった。

「ただ、電話ボックスに憑く怨霊を倒してくれたことには感謝していましたよ。私もよくあの厄介な怨霊を倒せたと感心しています。さすが、別世界の魔神を殺した勇者だけありますね」

「え? 急に上がる俺の評価に戸惑いを隠せないんですけど。ていうか、あの怨霊って倒せていたってことでいいんですか?」

「はい。しっかりと消滅しています。これで、向島市に少し平和が訪れました」

「そこまで!? 声しか聞いてないけど、小さな女の子の幽霊系なのに!?」

「ああ……君は姿を見る前に」

「え? 姿を見たら死んじゃう系ですか?」

「ある意味」

「ある意味?」

月読は言い辛そうにしながら、説明してくれた。

「あの電話ボックスにいた怨霊は――自分のことを幼い少女だと信じて疑っていない中年男性の怨霊です」

「ひえっ」

さすがに背筋が凍った。