作品タイトル不明
34「新たな神々もだんだん雑になってね?」②
ショートカットの神とポニーテールの神をトンネルに招き、話をしてみた。
ショートカットの神は、山本川。
ポニーテールの神は、鈴木原というそうだ。
彼らは、幸せの神の配下である神の末端だったようだ。
しかし、幸せの神の凶行とも言える、言動につていけずこっそり離反したらしい。
新たな神々の中でも、雑魚を通り越して足を引っ張るレベルの神であったことから、今だに離反したことさえ気づかれていないらしい。
もしかしたら、自分たちの存在さえちゃんと認識されていなかったかもしれないとまで言った。
――それはそれでどうなんだろう、と夏樹たちが思ったのは言うまでもない。
いろいろ新たな神々たちと方向性が違うと気づきいたものの、人の想いから生まれ神として人と共に生きたいと考えたようだ。
そこで、まず新たな神々と明確に敵対している月読命に挨拶に行ったそうだ。
話をして、害がないこと、雑魚であることを証明し、陸上部のコーチとなったらしい。
「以上が、俺たちのことだ」
「なるほど。わかったよ。じゃあ、さようなら」
「待て待て待て待て! どうして、雷をばっちばっちしているのかな!?」
「新たな神々って最近、トラブルしか持ってこないじゃんって思ったんだよね」
「今さらじゃのう」
「今さらっすねぇ」
「もしかしたら、あんたたちが裏切るかもしれないし、殺しておいた方がいいかなって」
「発想が物騒!」
「雑魚だって言ってるだろう! 雑魚が裏切ったって雑魚なんだよ!」
「そうだ! なんだったら雑魚を司る神を名乗ってもいいほど雑魚なのに!」
「そもそも、俺たちは月読命に縛られているから悪さもできないから安心してくれ!」
「する気もないけどね」
そこまで言うのなら、と夏樹は雷を引っ込める。
ショートカットの神とポニーテールの神がほっとする。
「あー、なんだ。話に割って入って悪いが、陸上部の生徒たちとの肝試しは別のところでやってくれや」
千手がそろそろ話を終わらせようとまとめに入った。
「首なしライダーの拠点になっちまっているってこともひとつだが、何かしら残滓が影響を与えるかもしれねえ。俺としては、中学生が目覚めなくてもいい力に目覚めちまう可能性は削いでおきたい」
「――わかりました」
「俺たちも、それは望んでいない」
千手は安心した。
話のわかる神でよかった。
どこぞの勇者よりもよほど話が通じる。
「いくつか、問題はねえが雰囲気がばっちりな場所を教えてやるからそっちで肝試しでもなんでもやってくれや」
「それは助かります」
「ありがたい!」
千手はできる男なので、「ここで肝試しは駄目だ」というだけで終わらせることなく、きちんとアフターケアもする。
これが、プロだ。
手帳を取り出し、肝試しにもってこいの雰囲気がある場所を書き記し、ショートカットの神に手渡した。
「ていうか、部活動頑張っている子を山に連れて来ちゃ駄目だろ。首なしライダーがいるいないじゃなくて、山は危ねえんだからさ」
「……すみません」
「すまない」
反省した神々に、千手は口を閉じる。
言いすぎたかもしれないと思ってしまう。
最近、ツッコミが多いので、つい二言三言多くなってしまうのだ。
「いや、言いすぎた。生徒のために夜に現地調査するなんていいコーチだ」
千手は謝罪し、手を差し出す。
神は少し驚いた顔をしたが、嬉しそうに握手を交わした。
「君は、とてもショートカットが似合いそうな良い男だな」
「いや、ポニーテールの方がよく似合うだろう」
「そういうのいいから」
想像していなかった出会いがあったものの、夏樹たちは新たな神々と首なしライダーを引き連れて山を降りた。
「アルフォンスさん! こんばんは!」
「おう! どうした?」
「出前のバイト募集しているって聞いて」
「そうなんだよ! ちょっと手が足りなくてな。なんだ、バイト希望か?」
「バイトしたいけど、イベントが忙しいから」
「なんだそりゃ」
「代わりに、紹介したい人がいるんです!」
「おい、嫌な予感しかしねえ」
「どうぞ、首なしライダーさんです!」
「どうも、首なしライダーのケヴィンです!」
「……………いや、普通に無理だろ」