作品タイトル不明
28「夜の山道って怖くね?」②
夏樹は山の中をひとりで歩いていた。
「うわーん、怖いよー! 小梅ちゃん、銀子さん、千手さん、円ちゃん、たーしゅーけーてー!」
身体中に枝や葉っぱをつけて、ぐずぐす泣きながら夏樹は山の中を彷徨っていた。
虫の鳴き音が響くだけの山中はどことなく怖い。
しかも、山中には首なしライダーがいるのだ。
遭遇したら山ごと斬る自信がある。
「ふえぇえええええええん!」
泣いている夏樹の視界の中に、不意に青い光が見えた。
「小梅ちゃん、銀子さん!?」
もしかして助けに来てくれたのかもしれない。
夏樹は光に向かって走る。
何度も木々に足を取られて転んでしまうが、頑張って立ち上がり、走った。
そして、
「――あ」
「――あ」
青い炎を纏った首なしライダーと再会してしまった。
「あ、駄目だ。普通に怖い。それ人魂じゃん! やっぱり魂を奪う系の悪い奴だ! もう殺すしかない!」
「ちょ、ちょっと待ってください! 話せばわかる! 話せばわかります! 見てください、この穢れのない澄んだ瞳を!」
「お前顔無いじゃん!」
「――っ、そうだった!」
「首なしライダーがなんで首がないこと忘れてんだよ! ぶっ飛ばすぞ!」
「僕だって首なしライダーになりたくてなったわけじゃないんですよ!」
「――ん? どういうこと?」
「僕は、人間だったんです!」
「…………なるほど。そうだったのか」
「そうだったんです! わかってくれたんですね!」
夏樹は頷きながらばちばちと雷を鳴らす。
「あ、あれ?」
「つまり怨霊ってことだろう?」
「ち、違いますよ! こんなかっこいいライダーな怨霊がいるわけないじゃないですか!」
「別にかっこよくはねえよ!」
「なん、だと」
「そんな絶句されても困るんだけど」
「男の子ってバイクが好きなはず」
「免許取れない年齢でそこまで興味はねえよ」
「ヤンキー漫画とか見ないんですか!?」
「みーなーいー!」
雷が剣となる。
雷鳴が響く。
「話せばわかります!」
「わかりたくない!」
夏樹は、首なしライダーが都市伝説ではなく怨霊であることにちょっとがっかりしながら、剣を振り下ろした。
「――神鳴りの剣」
「んぎゃぁあああああああああああああああああああああああ!」