作品タイトル不明
23「ポルターガイストって怖いより驚くんじゃね?」
由良夏樹と愉快な仲間たちは向島市郊外の山道の入り口にいた。
この道を抜ければ、隣の街につながっている、誰もが利用する道路だ。
カーブが多いので、街灯とガードレールはもちろん、道路もきちんと舗装されている。
「はーい、こんばんはー! 今日のリヴァ子ちゃんねるは、どきっ、首なしライダー!? 都市伝説の真相に、迫る! でーす!」
テンションがひとり高いのは、動画配信者として仕事をしている七つの大罪の魔族リヴァイアサンことリヴァ子だ。
彼女は、首なしライダーの話を聞き、興味を持ったようでついてきている。
ただ、あくまでも一介の動画配信者であるスタンスはかわらないので、戦いになっても手を出さないと言っていた。
夏樹としても、七つの大罪の魔族に戦ってもらおうとは思っていない。
「さあ、みんな準備はいいかい!」
キラキラした瞳を仲間たちに向けた。
メンバーは、素面の小梅と銀子に、一登、千手、虎童子、円と星熊童子、熊童子という錚々たる面々だ。
「リヴァ子さんの動画のために、首なしライダーを捕まえるぞ! 見事捕縛したら、リヴァ子さんから金一封だ! ひゃっはー!」
「……いえーい」
テンション高めの夏樹に対し、みんなはそこまでではない。
「どうしたのかな!? みんなテンション低いよ! テンション上げていこうじゃない!」
手をパンパン叩く夏樹だが、小梅たちはやはり微妙な顔をしている。
「……なんかリヴァ子の動画のネタを提供するようで嫌じゃ」
「小梅ちゃん!?」
「仕事なのでいいっすけど、捕縛っすよね? 斬れないとテンションが上がらないっす」
「銀子さん!?」
「一応言っておくと、この道って首なしライダー以前に幽霊の目撃情報が多発している心霊スポットだからね? さすがに怖いよ!?」
「ははは、一登ったら、ナイスジョーク! 幽霊なんていないって!」
「これだけ散々ファンタジーしてきたのに、幽霊だけ全否定なの!?」
「だって、怖いじゃん!」
「――夏樹くんにも怖いものがあることを俺はほっとしているよ」
夏樹だって怖いものくらいある。
いくら勇者であっても、幽霊は怖い。
物理攻撃が効かない可能性があるので、対処ができないかもしれないと思うとゾッとする。
最悪、幽霊が二度と出てこられないように、この道ごと破壊すれば問題ないとも考えていた。
「円ちゃんと、スターベアさんとベア童子さんもきてくれてサンキュー!」
「……なっちゃんのテンションについていけへんけど、懐かしいなぁ。昔もこんなことあったんよねぇ」
「昔からこんな感じかよ。順当に育ったな」
「べあべあ」
安倍円と、星熊童子、熊童子は、安倍東雲と茨木童子と一緒にホテルで療養していたのだが、なんやかんやあって結ばれたふたりが一周回って中学生みたいに初々しいため見ていられなくて逃げてきたのだ。
「由良は由良だな」
「姉貴の一番の失敗は念入りに幼少時の由良夏樹を殺してなかったことだよなぁ。殺せていたか不明だけど!」
千手と虎童子はいつものメンバーとして呼ばれている。
千手は責任感がある兄貴分なので、夏樹たちを野放しにした結果、どうなるのか予想ができたのだろう。
虎童子は千手が行くのなら世界の果てでもついていく。
ちなみに、佐渡祐介は連絡が取れなかった。
「あ、一応、言っておくけど、表向きは善意からの首なしライダー退治だからね。悪意とかないから! おふざけとかない、真面目回なんで、しくよろー!」
「嘘つけぇ! お前、ふざけまくってるじゃねえか! 証拠、思いっきりリヴァイアサンの撮影機に残されているからな!」
「――千手さん。ふざける勢いでテンション上げないと、首なしライダーとか怖いじゃん!」
「嘘つけ!」