軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

20「新たなジャンルじゃね?」②

――深夜。

中学校教師の権藤は妻と一緒に向島市の郊外を車で走っていた。

「すっかり遅くなってしまったな。予約をしていたとはいえ、思いがけず混んでいたが、美味しかったな」

「そうですね。楽しい時間をありがとうございます」

「い、いや、いいんだ。新婚だし、君には楽しい思いをたくさんしてほしい」

「う、嬉しいです、あなた」

「しかし、お互いに明日は仕事があるから、少し急ぎたいが」

「飛ばしちゃ駄目ですよ。先生が交通事故なんて大問題ですからね」

「もちろんだ」

新婚の権藤は、妻とレストランで楽しい時間を過ごして帰る途中だった。

隣町の海の見えるレストランで、妻の好きな美味しいパスタを食べさせてくれるレストランを満喫し、すっかり時間は遅くなってしまっていた。

権藤は家では嗜む程度にお酒は飲むが、外ではあまり飲まないので運転は問題ない。

妻は、軽くワインを飲んでほろ酔いだ。

お互いに、明日は月曜日なので仕事はあるが、夫婦の時間も大切だ。

教師という忙しい仕事の権藤に嫌な顔をせず、時間に振り回されながらも交際を続けてくれてゴールインできた妻のことを権藤は愛しているし、大事にしている。

特に、最近は顧問をしていたバスケ部が不祥事を起こしてしまったことで、責任問題になりかけたので心配をかけてしまった。

月読たちをはじめ、同僚の教師はもちろん、生徒や保護者たちが権藤は悪くないと訴えてくれたおかげで事なきを経たのだ。

それでも、顧問だった権藤としては、大きな失敗をしてしまった生徒を放り出すつもりはなく、停学中の生徒の家を回っていた。

だからと言って妻を蔑ろにできるはずがなく、こうして夫婦の時間をしっかり取っていた。

「――ん?」

「どうしました?」

バックミラーに、光が反射した。

後続車が来たのかとハンドルを握り手に力が入る。

「飛ばしているな」

「あら」

煽り運転が問題になっている昨今、運転には気をつけなければならない。

ドライブレコーダーがついているので、何かあっても証拠は確保できる。

一番怖いのが、煽り運転だけではすまないことだ。

「山道だというのに、バイクか?」

必ずしも煽り運転とは限らない。

だが、夜の山道をバイクが飛ばしていると、少しひやっとしてしまうのは自然な事だった。

妻がそっとスマートフォンを握りいつでも電話をかけられるようにしていた。

ここで権藤たちが急いだり、スピードを落としたりした事で火種になっても困る。

今まで通りに走り続けた。

だが、バイクはすぐに後方にやってきた。

「――む」

「……あなた」

「大丈夫だ」

スピードを出していたバイクが権藤の車の後ろでスピードを落とす。

前方に車がいるから、ではない。

ゆらゆらと左右に蛇行しながら、後方で危険運転を始めた。

「事故をしたらどうする!」

権藤はせっかくの休日の最後にケチがついてしまったと内心嘆く。

だが、幸い、もうすぐ山道を抜けて市街となる。

すぐに警察署も見えるので、これ以上の馬鹿な真似はしないだろうと考えた。

――すると、バイクがスピードを出した。

うぉん、とアクセルを噴かし、権藤夫妻が乗る車を追い抜く。

どんなライダーが乗っているのか、ヘルメットで顔は見えないだろうが睨むくらいはしてやろう。

そんなことを考えて権藤は目だけでバイクを追い、絶句した。

妻も同じだ。

――なぜなら、バイクを運転するライダーには首がなかったのだ。

■。

「いやぁああああああああああああああああああああ! 都市伝説っていうか、普通に怖い話じゃん!」

「だから首なしライダーと言っただろう?」

「そうだけど、なんか怖い! え? どうすればいいの? 俺が山道に言って首なしライダーを捕縛してくればいいってことですか!?」

「いや、捕縛はちょっと。仮に成功して連れてこられても対処に困る」

「……じゃあ、殺すしかないですね」

「…………由良……私が相談しておいてなんだが、ちょっと物騒じゃないか?」

権藤が困った顔をした。