作品タイトル不明
12「考えるのがめんどくね?」
花粉症の神が作った擬似世界を雷が蹂躙する。
アマイモンとの戦いで大きく成長し、力を取り戻した夏樹にとって星槍がおらずとも、彼女が聖剣として力を貸してくれていた時と同等の力を単身で使えるようになっている。
「おのれ! やはり由良夏樹か! 私が三人消し飛んだぞ!」
十人いた花粉症の神は、数を七体にしていた。
「――今のは、鼻をかみたかったのにポケットティッシュが終わってしまった時の恨みだ!」
「知るか!」
「これは、マスクをしているからって鼻にティッシュを詰めていることを忘れてマスクを外してしまった時の恨みだ!」
雷の剣を薙ぐ。
雷鳴が迸り、稲妻が走る。
刃と化した稲妻が花粉症の神々を襲った。
「……なんと理不尽な力だ!」
稲妻に飲み込まれた花粉症の神が身体中を焼き斬られて絶命した。
これで、六体。
「……あ、もう駄目、パワーが尽きた。河童パワーと美脚パワーが足りない」
後先考えずに、今できる力を思い切り放ったが、全員を殺しきれなかった。
ざっと見た限り、小梅が戦っていた個体が一番強い。
今の夏樹では殺せる自信がない。
「由良夏樹よ。ルシファー・小梅にも言ったが我々を殺しても無意味だ。私たちはどこにでもいる」
「じゃあ全員ぶっ殺す」
「それができれば君も神となろう」
「俺は神じゃねえし! 河童の守護聖人にして」
「そういう戯言はいい」
「…………ぶっ殺す」
「仕方がない。我々も少し真面目に戦」
夏樹と会話していた神が消し飛んだ。
小梅だ。
小梅が神力を光に変換させ圧縮した砲撃で撃ち殺したのだ。
「よそ見をするからじゃ!」
残り五体となった。
このまま押して全て殺したい。
十天だかなんだか知らないが、いずれぶつかる敵であれば無理をする意味はある。
「ですから、無駄なことですわ」
仲間を五人失いながら、平然としている態度はどこか怖さを覚える。
「戦闘面に特化している個体はルシファー・小梅に倒され消滅しそうです。彼女ほど戦闘は得意ではないのです。得意ではないだけで、強くはありますが」
「お、なんですか、その私強いんですアピール?」
「事実を言っているだけです。もしわたくしがあなたたちに殺されても違う花粉症の神が活動するだけですので問題ありません。私は彼らで、彼らは私なのですから」
「……もうめんどい」
花粉症の神のしたいことがいまいちわからない。
最初に接触してきた花粉症の神は、UMAを新たな神話に迎えようとしていたようだが、後から現れた花粉症の神の行動理由は不明だ。
助けに来た、というには殺されても構わない言動をしている。
つまり、わからない。
「――全力でいくぞ、こらぁ! 空間ごとぶっ殺してやるよ! あとは知らねえ! 逃げるでもなんでも好きにしやがれ! 人の休日イベントにバトルイベントを混ぜやがって! 毎回言うけど、いきなり来るな!」
雷の剣を縦に振るった。
稲妻が擬似空間中を暴れ狂い、斬撃が飛ぶ。
大技などで花粉症の神がどうなかったのかさえ確認できないが、そんなこと知ったことではないと夏樹は力を込めて、この擬似空間を斬り壊した。