作品タイトル不明
間話「なんか不穏な気配じゃね?」
「ま、まもんまもん……まま、ままもん、まもん、もんもん、まもん」
「まったくだ。生き霊のくせにかなりやばい怨霊みたいだったな。まさか、良いところのお嬢様が周平を探していたとは……縁っていうのはわからないもんだ」
さまたんとマモンはボロボロだった。
周平の周平に憑いている生き霊をどうにかしようと、生き霊となっている人物を見つけ出し、訪ねたのだ。
そこはなんとめっちゃ大きな武家屋敷だった。
蝶よ花よと育てられた、品のいいお嬢様が、周平に恋する正体だったのだ。
見つけたのはいいが、そこからが大変だ。
「――あなた生き霊になってますよまもんまもん」
と、言って誰が信じてくれるのか。
さまたんはそう考えて声をかけるかどうか悩んだのだが、何も考えていなかったのか、考えた結果だったのか、マモンが黒塗りの外車から降りて屋敷の中に入ろうとした少女に向かい、「貴様、まもんまもんなことになっているでまもんまもん!」と付き合いが長いさまたんであっても意味がわからないことを言ったものだからさあ大変。
時代劇で見たことがある「であえ! であえい!」みたいな展開となり、わらわらと屋敷から強面の人間が現れたのだ。
無論、七つの大罪の魔族であるマモンと、魔界の覇権を賭けて魔王サタンと戦ったさまたんの相手を人間が務まるはずもなく、秒で片付いた。
ここからが問題だった。
手を出してしまった以上、出直すことも難しい。
そこでさまたんが意を決意して話しかけた。
強面のマモンと違い、きちんと挨拶をして身分証を提示したさまたんは、なんとか少女に話を聞いてもらうことに成功した。
少女はきちんと話が通じる子だった。
名を佳子と言い、柔らかな物腰の子だった。
しかし、周平の話をしたところ――豹変した。
どう豹変したのかは、さまたんもマモンも思い出したくなかった。
さまたんは、噛みつかれ引っ掛れ散々な目にあった。
マモンに至っては、左腕を折られてしまった。
しくしく泣きながら、一時撤退したさまたんとマモンだった。
「あの、サマエルさん、マモンさん」
家で待っていたのは、アルバイトとして雇っている少女だった。
周平と一緒にやんちゃをしていた少女であり、何かと周平にアプローチをしている子である。
名を、美希という。
「どうしたんだ、美希ちゃん。周平たちはもう帰っている時間だと思うんだけ……ど」
「ま、まもん……」
さまたんとマモンが無意識に美希から距離を取ってしまった。
なぜだろう。
美希の瞳には光が宿っていない。
「……佳子と会ったんですね?」
「まもん!?」
「な、なんで、それを」
心臓が跳ねる。
どうしてそのことを知っているのだろうか。
「実は、佳子は従妹なんです」
「そ、そうなんだ」
「まもんまもん」
「私、佳子が周平に助けられて白馬の王子様みたいに思っていることは知っていました。だから、周平の存在を必死に隠していたんですけど……」
「まもんっ」
「ひい」
「――あの子と周平を会わせたりしません、よね?」
――青森はちょっと怖かった。