作品タイトル不明
52「さすがにおこじゃね?」①
「はーい、それでは、お仕置きをはじめまーす! ここでゲストのガープさんとマレーさんです! はーい、拍手ー!」
「いやぁ、どうも魔族のガープです!」
「獏のマレーなのねん」
ノリのいいガープが手を振り、マレーが帽子を軽くあげて挨拶した。
急遽助っ人に呼んだふたりだが、すぐに駆けつけてくれた。
聞けば、ガープの家でマレーとふたりでタコパをしようとしていたとこだったらしい。
せっかくのタコパを邪魔して申し訳ないと思う。
しかし、フリフリのエプロンを装備して魔族がやってくるとは思ってもいなかった。
「なにこのノリ?」
一登だけが展開についていけず困惑気味だ。
「小島山くんだっけ」
「……夏樹くん、小島村だよ」
「おっと、失敬失敬。さて、小島村くん。君は、神に力をもらったとか言って俺に喧嘩を打っただけじゃ飽き足らず、俺の家族に手を出そうとしました。しかも、すっげー下種なないようだったねぇ。お口から全部漏れていたからね」
パイプ椅子に縛られた小島村が、夏樹を見て震え出す。
なぜ急に怯え出したのかわからないが、もう遅い。
「マレーさんのおかげでお前が何を考えているのかよーくよーくわかったよ。俺は異世界帰りの勇者であるけど、残酷な勇者でもあるんだ。というわけで、死刑!」
「ま、まま、まってくれ!」
「待つ余地があるかなぁ?」
「俺たちに力を与えた神の情報を」
「あ、そういうのいいんで」
「――――え?」
「…………え?」
驚いた顔をした小島村に、夏樹が驚いてしまう。
急に神の情報をとか言われても困る。
なぜそんな求めてもいないことを話されなければならないのだろうか。
「お、俺が誰から力を得たのか、知らなくていいのか?」
「逆に聞くけど、なんでそんなこと知らなくちゃならないの?」
「そ、それは」
夏樹の疑問に、小島村は口をぱくぱくさせている。
必死に言葉を探そうとしているが、見つからないようだ。
「いや、普通に考えて神が人間に力を与えたのなら、情報をはかした方がいいんじゃないかなって常識のあるガープさんは思うんだけどなぁ」
「マレーさん的にもそう思うのねん」
「俺も同感だよ、夏樹くん」
「ナイスジョーク!」
「ジョークじゃねえよ! え? マジで、この子から情報なにも吐かさせずに殺すの?」
「殺すよ!」
「なんて光り輝く笑顔!」
「――勇者ですから!」
「うぜぇ、きりってすんなきりって!」
小島村に力を与えた神にまったく興味のない夏樹だが、ガープとマレーと一登は情報だけでも吐かせたほうがいいのではないかと提案する。
だが、夏樹は気にしない。
「中学生に力与える程度の神とか興味ないのよねー」
「言いたいことはわかるんだがな」
「新たな神々でも、そうじゃない神だったとしても、こんな回りくどいことしないで俺に直接喧嘩売ってこいよ。やることがダサいんだよ!」
「……ガープさん的にもそれは同感。ダサいよなぁ」
そもそも夏樹は力を与えた神が何を考えていてもいいのだ。
問題はそこではない。
力を得た小島村が調子にのって喧嘩を売ってきたことと、家族に害を成そうとしたことが許せないのだ。
「じゃあ、そろそろお別れの時間です。ちなみに、これおふざけじゃねえから。マジで殺すから」
ふざけていた夏樹が真顔になった瞬間、小島村は失禁した。