軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

49「しょうもないイベントじゃね?」③

びくんっ、びくんっ、と股間を押さえて地面の上で痙攣する小島村を踏みつけ夏樹は怯む他の生徒たちに獰猛な笑みを浮かべた。

「ほら、かかってこいよ。手加減してやるから、かかってこいって言ってんだよ!」

数で囲めば相手がビビると勘違いしている馬鹿たちに、夏樹は空気が震えるような大声を出した。

武器も持たない。人を殺した経験もない。モンスターでも魔族でもない奴らがたった十人いても何も脅威ではない。

勇者だから、魔法を使えるから怖くないわけじゃない。

異世界に召喚される前から、こんな奴らなど雑魚でしかないのだ。

「ゆ、由良ぁ! お前はいつもそうやって俺たちのことを見下しやがって!」

「見下すも何もお前らなんて知らねえよ!」

「そういうところが見下してるって言ってんだよ!」

「そんなくっだらねえ理由で俺の貴重な時間を消費したっていうのなら、お前ら全裸に剥いて学校にある伝説の木にくくりつけてやる!」

一登が「言動が勇者じゃないんだよなぁ」と呆れているが、聞こえないふりをする。

残念だが、異世界召喚される前からこういう輩は二度と馬鹿なことができないように徹底してきた。

そのスタイルは変えない。

むしろ、問答無用で殺さないだけ感謝してほしい。

彼らは、夏樹がその気になれば何をされたのかわからないまま絶命してしまうことに気づいていない。

「そうやって馬鹿にしていられるのもこれまでだ」

「言っておくけど、俺にはナイフも拳銃も効かないからね」

「拳銃なんて持ってねえよ! お前、馬鹿じゃねえの!? 普通の中学生が拳銃持ってるわけねえだろ! あと、効かないとかお前、化け物かよ!」

「……酷い言われようだ」

さすがに善良な中学生である夏樹は、拳銃で撃たれたことはない。

撃たれる前に対処したので問題なかった。

「ふんっ、おい! 構えろ!」

男子生徒八人が、一斉に夏樹に向かい両手を向けた。

彼らの手のひらに神力が集まったのをはっきりわかった。

「――おま」

「ちょっと!?」

夏樹だけではない。

一登も驚く。

なぜ彼らが、神力を使えるのか。

いや、それよりも、人気がないとは言え通学路で力を使おうとしていることに呆れを通り越して、怒りを覚える。

「お前ら、ファンタジーの住人かよ!」

「はははははは! 神から授かったこの力でお前に復讐してやるよ!」

「復讐って俺が何をした!」

「…………マジで言ってるのか?」

「マジに決まってるだろ!」

「ふざけんなぁあああああああああああああああああああ! お前と水無月がチクったから俺たちは停学になってバスケ部も廃部になったんだぞ!」

「…………………あー、そんなこともありましたねぇ」

「この――撃て!」

バスケ部員たちは、夏樹と一登に向けてそれぞれ力を放った。

炎が、水が、風が、土が武器となって襲いかかる。

夏樹は何も迷いなく、足で踏みつけていた小島村を盾にした。

「うぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!?」

悶絶していた小島村だったが、攻撃が迫り来ることに気づき何やら力を出して攻撃を全て相殺した。

「残念。もう少しで死ねたのに」

「由良……お前、正気か? 死んだらどうするんだ!」

「えぇぇ……殺すつもりできたんじゃないのぉ?」

攻撃を仕掛けておきながら殺すつもりがないとはどういう意味かわからない。

「お、俺たちはお前を痛めつけて……松島明日香の代わりを用意させようと」

「はぁ?」

「そ、そうだ! せっかく都合のいい奴がいたのに、お前のせいで!」

「えぇぇ」

「由良と親しい美人な女がいるだろ! そいつらを好きにさせてもらおうと」

「――あ?」

「お、俺は三原一登を……ぐへへ」

「――ああん?」

(えっと、とりあえず、こいつらは不純異性交遊ができなくなったから、代わりの相手を俺を脅して用意させようってことか。ていうか、一登まで対象に入っていてびっくりというか、一登が今までに見たことない顔をしているんだけど。――まあいいや、とりあえず殺そう)

夏樹は虚空から常闇の剣を引き抜いた。