作品タイトル不明
50「しょうもないイベントじゃね?」④
「――な」
最初に声を上げたのは、小島村だった。
まさか夏樹が虚空から魔剣を引き抜くとは思いもしなかったようだ。
「てめえもこっち側かよ!」
「おれはそっち側じゃねえよ!」
神から力をもらったと言ったが、その神がどこの誰なのか不明だ。
(どうせ新たな神々だろうけど)
いちいち気にしていても仕方がない。
敵は殺せばいい。
同級生だろうと、なんだろうと構わない。
ただ突っかかってくる程度であれば、見逃してやったが、小梅たちと一登に危害を加えようとするのならば、自分たちの言動をあの世で後悔してもらうしかない。
「俺は痛めつけるなんて優しいことは言わない。――死ね」
「――――ひ」
夏樹の本気を理解したのだろう。
小島村が小さな悲鳴を漏らす。
だが、もう遅い。
魔剣は吸い込まれるように小島村の首に向かっていた。
「駄目だ、夏樹くん!」
しかし、一登の叫びが夏樹を止めた。
だが、少し遅く、小島村の首を一センチほど斬ってしまったが。
「あああああああああああああああああああああ!?」
首から血を流す小島村が絶叫する。
力を得たとか言う割には、回復手段は持っていないようだ。
「ごめん、ちょっと手が止まらなかった」
「あ、うん。てっきり首に触れる直前でぴたりって止まると思っていたけど、現実はそうもいかないよね」
とりあえずうるさいので小島村の首にヒールをかけてから、顎を蹴り上げて昏倒させる。
ひっくり返った小島村の腹を踏みつけ、夏樹は常闇の剣をアイテムボックスにしまうと、指を鳴らした。
「お前たち、ラッキーだな。今日から朝と晩に一登にお祈りしろ。一登のおかげで、お前たちを殺さない」
「いや、さすがにお祈りはいらないよ」
「――だけど、痛めつけてやる。二度と、悪さができないように、毎日なんであんなことをしようとしたのかと悔いるように、徹底的に痛めつけてやる」
――夏樹は嗤った。
お世辞にも勇者とは思えない笑みだった。
「ふざけるな! いくらお前がこっち側でも、この数に」
ひとりの生徒が叫んでいる間に、肉薄する。
「馬鹿だなぁ、喋る前に攻撃だろ」
軽く腕を捻り上げて、そのままへし折った。
絶叫が響く。
腕を離してやると、よほど痛いのかのたうちまわりだした。
「お」
また何かを言おうとした少年の顔面に拳を叩き込む。
鼻が折れた感触が伝わり、指が濡れた。
不快だが、まあいい。
夏樹は容赦無く拳をまた叩き込む。
頬が砕け、顎が砕けた。
「よし、次」
次の生徒を痛めつけようとした時、夏樹の顔に向かって光の矢が飛んでくる。
速いが、問題ない。
目で追えた。
矢を掴もうとしたが、どんな効果を持つ矢なのかわからなかったので、首を少し動かして避けるだけにした。
すると、矢が刺さった壁が溶けて異臭を放つ。
「おいおいおいおいおい! 近隣の方々に迷惑をかけてんじゃねえよ!」
夏樹が怒りと共に雷を放った。
勢い任せに放った雷は生徒を身体を焼き、絶叫をあげさせることなく昏倒させる。
そして、ついでとばかりに、近隣を停電させた。
「あ、やべ!」