軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

【過去編】「まもんまもんな出会いじゃね?」②

「えっと、あの、君は」

「俺様はサマエル! いずれこの魔界を統べる王となる大魔族だ! 覚えておけ!」

「う、うん」

腕を組み、胸を張り、魔界の風で長い黒髪を靡かせる幼女――サマエルには不思議な貫禄があった。

混沌とした魔界で王らしい王はいない。

いくつかの国があり、それぞれのトップが王を名乗っているが、統一などできるはずがないと思われているのが一般的だ。

「俺様は弱者は嫌いだが、お前は強いな」

「ぼ、僕が?」

「そうだ。人前で泣かない。嫌がらせされても決して心は折れていない。だから、お前の心はとても強い! ――まあ、俺様には劣るがな」

サマエルがマモンに手を差し伸べた。

「俺様は守ってやるなんてことは言わない。代わりに、一緒に戦ってやる!」

マモンに衝撃が走る。

胸が熱くなった。

恋ではない。

もっと違う、燃え盛る感情だった。

「とりあえず、お前をいじめたバカ共をぶっ飛ばそうぜ。なーに、ここは魔界だ。ちょっとくらい暴れたって怒られて終わりだ。やるか?」

「――うん!」

マモンはサマエルの手を取った。

「いい目だ。えっと、お前の名前はなんだっけ?」

「マモンだよ」

「いい名前じゃねえか。俺様が魔王になったら右腕にしてやるよ」

「うん!」

「ただ、ちょっとインパクトが足りねえな。――っ、そうだ! お前、まもんまもんって叫べ!」

「なんで!?」

「なんとなくだよ! なんか響きが良いだろう? 気合い入るって言うか」

「気合い抜けちゃうよ!?」

「いいからいいから! まもんまもんって叫んで、バカ共をぶっ飛ばすぞ!」

サマエルはマモンの手を引き、いじめっ子たちがいる場所に向かった。

そして、ふたりで「まもんまもん」と言いながら、いじめっ子たちをぶん殴り、パンツずらして、思いっきり泣かせた。

――これがまもんまもんの始まりだった。