作品タイトル不明
40「ようやく一日が終わるんじゃね?」①
「えー、本日はお日柄もよく。サタンさんがかっこいいところを見せてくれた記念と、森さんと吉岡くんが恋人になったことを祝し、――乾杯!」
「乾杯じゃー! って、森さんと吉岡くんって誰じゃ!?」
「こまけーことはどうでもいいっす! かんぱーい! 森さんと吉岡くんに幸あれーっす!」
夏樹の音頭で飲み会が始まった。
小梅が突っ込みながら、銀子が特に気にせずビールを飲み干す。
「ふーい、それにしても、まさかくそ親父がまともなことを言うとは思わんかったのう。黙示録でも訪れたかと思ったんじゃ」
「小梅ちゃん!? パパ、頑張ったのに! ひどい! 泣いちゃう!」
「……そういうところじゃ!」
しょんぼりするサタンの前に、義政がカクテルを置く。
「あちらのお客様から、ウォッカマティーニをシェイクです」
あちらのお客様こと、一登がサタンの隣でウインクしている。
「あ、ありがとう。ていうか、義政先生、シェイクできるんだね。めっちゃ手慣れてない?」
「幼稚園で習いました」
「どんな幼稚園!? さすがにカクテルは教えないでしょう!? 魔王的にもないわー!」
「え? ひらがなと一緒にならったんですけど」
「おかしい! 作ったお酒はどうしたの!?」
「先生が全部飲みましたよ?」
「生徒が作った分、全部!? ていうか、酒は駄目でしょう! 常識的に!」
サタンが常識を説くほど、義政の通う幼稚園には問題が多そうだ。
夏樹的にもそろそろ一度、訪問したいと思っている。
「あ、義政先生! 俺、カウンターの上でロックグラスをしゃーって滑らせるのをやってみたい!」
「……大変申し訳ありませんが……由良家にはカウンターがないのでちょっと」
「そうだった。丸テーブルじゃ、しゃーってやってもつまんないもんね」
「いえ、マナー的に基本はやらないらしいですし、実際はこぼれるみたいですよ」
「がっかり」
映画でのワンシーンができないと、夏樹は悲しげに肩を落とした。
「しっかし、俺様たちが水無月家で花嫁修行している間に夏樹たちは大変なことになっとったようじゃのう」
「そうっすよ。UMAはとにかく、淫魔が新たな神々と組んだのは結構問題っすよ」
今日の出来事は、小梅と銀子にも話をしてある。
小梅は「淫魔なんぞ雑魚しらん!」と一蹴したが、銀子は真面目な顔をして唸っていた。
「ていうか、なんで俺が淫魔に恨みを買っているのかがわからないんだよ」
「……夏樹くん、それマジっすか?」
「え? マジだけど」
「……夏樹くんらしいと言うか、なんと言うか。ほら、三原優斗くんの彼女が淫魔だって話があったじゃないっすか。襲われたからって夏樹くんが瞬殺した子っすよ! わかんないって顔してるっすね!」
「うん、わかんない!」
「まあ、いいっすけど。とにかく、一度は関わったらしいっすよ。まあ、私たち警察にしてみても、淫魔はタチが悪いっすから、基本的に討伐っすけどね」
「やーねー、雑魚なのにタチ悪いのって」
「本当っすよ」
千手たちが、あのあとどうしたのか気になっている。
連絡がないことをいいことと思うのか、悪いことと思うのか判断に悩む。
「新たな神々といえば、UMAさんたちを脅している新たな神々ってどんな神なんだろう?」
一登が麦茶を飲みながら、疑問を浮かべた。
「そういえば、聞いてなかった。ま、そんなやばい神じゃないでしょう」
「楽観視していいのかなぁ」
不安そうな一登だが、モスマンたちが帰ってしまった以上もうわからない。
「いずれわかるさ。ていうか、今日はイベントがたくさんだかったら、今日はゆっくり眠りたい」
「ははは」
――この時、現代人にとって相性が悪すぎる神の襲来があるとは、微塵も考えなかったのだ。