軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

39「サタンさんおこじゃね?」

「チュパカブラだかモスマンだか知らないが、あまりウチの夏樹を面倒ごとに巻き込まないでもらおうか?」

サタンが威圧のある声を出した。

「……いや、ウチのとか言われても。俺、サタンさんの子じゃないんですけど」

「遅かれ早かれだろ!」

「マジで!?」

「夏樹はちょっと静かにしてて!」

「はーい」

咳払いしたサタンが、チュパカブラとモスマンを改めて睨む。

「この子は強い。お前たちにちょっかいをかけている新たな神々と戦えるだろう。だが、まだ子供だ。お前たちにも事情があるんだろうが、子供に助けを求め、厄介ごとを押し付けるな」

静かに、落ち着きのある声で、サタンがモスマンとチュパカブラに告げた。

「お前たちも大変なだろうが、アポもなく家に押しかけ、見返りもない。子供だから利用しやすいと思っているのなら、お前たちは魔王サタンを敵にすると思え。新たな神々など比べ物にならない恐怖を与えてやろう」

「――っ、誤解だ。私たちは、何も夏樹くんに丸投げしようなどとは思っていない」

「突然の来訪には、申し訳ねえと思う。だけど、おいらたちも困っているんだ」

「困っているのならば、まずすべきことがあるだろう」

「謝礼……金、だろうか?」

「……今、この場で八つ裂きにしてやろうか?」

サタンの声が低くなった。

「お前たちに必要なのは、ひとりの中学生に助けを求めることじゃない。魔族でも神族でもなんでもいい。どこかの派閥に入ることだろ」

「……それは」

「まさかとは思うが、夏樹と親しくすれば魔族や神族が勝手に助けてくれるなんて都合のいいことを考えているわけじゃないだろ?」

「違う、そんなことは考えてなどいない」

「飛行機乗ってわざわざ日本に来たのも、ちょっと観光したのもいいさ。常に張り詰めている必要はないからな。それでも、道理はあるだろう」

「……その通りだ。申し訳ない」

「ごめんなさい」

モスマンとチュパカブラは謝罪の言葉を口にした。

「えっと、俺は別にいいんだけど」

「つーか、魔王サタンが道理とかどの口で言うんじゃか」

「ちょっと!? サタンさん今、いいこと言ってるんですけどぉ!」

小梅の呟きに、銀子が「うんうん」と頷いた。

仮にも魔界の王。

魔族の王である魔王サタンの口から「道理」が出てくるのは驚きだったのだろう。

「サタンさんは、人扱いしていいのかわからないけど、いい人だと思うよ」

「――一登。お前も俺の息子だ!」

「えっと、どうもありがとうございます?」

一登は日中由良家にいるのでサタンと交流する時間もある。

一緒に買い物もしているし、夜は夏樹と三人で寝ている。

もう家族のようなものなのだろう。

それは夏樹も同じだ。

「サタンさん、ありがとう。俺のことを考えてくれてありがとう。でも、大丈夫だよ。サタンさんに心配かけないように、俺、ちゃんとぶっ殺すから!」

「あ、いや、そこを心配しているんじゃなくてね。まず夏樹に負担を強いるなってことをサタンさんはお怒りなわけで」

サタンがいつもの雰囲気に戻る。

夏樹としても、サタンはこの感じがちょうどいい。

「……魔王サタン様、あなたのおっしゃる通りだ」

「おいらたちは、きちんと話し合いをしないまま日本に来ちまった。道理がねえと言われたらそれまでだ」

「帰ったらすぐに、今後の我々の動きを決めようと思う」

「……魔族に保護を求めるのなら、俺の一存で受け入れてやる。天使がいいなら、紹介もしてやるよ。妖怪や日本の神も紹介はできるが、お前たちは魔族か神族のどちらかの方がいいだろうな」

「……そのお心遣いに感謝します」

「感謝します!」

「――おう」

こうして、モスマンとチュパカブラは一度ホテルに戻り、一緒に日本に来ているUMAたちと話し合いをするために急ぎ戻ったのだった。