軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

37「夜の来訪者じゃね?」②

「って、座っちゃ駄目じゃないですか!?」

「チュパカブラって言ったぞ!? 魔王さんもびっくりだよ!」

「夏樹くんが叫んだんです。ここは魔王サタンの力でなんとか」

「無理だよ! 勇者パワーでなんとか!」

想定外の来訪者に、一登とサタンはつい足踏みをしてしまう。

モスマンだけでも怖かったのに、チュパカブラまで現れてどう対処すればいいのかわからなかった。

「……ならば、ふたりで力を合わせましょう」

「――そうだな。可愛い義理の息子のためだ!」

勇者と魔王が手を取り合い、立ち上がった。

由良夏樹の前に、有名なUMAがいた。

「よう! プエルトリコからこんにちは! おいらは、チュパカブラ!」

「…………おいどんはギャラクシー河童勇者由良夏樹でごわす」

「ははは、なんか聞いていた以上に面白そうな兄ちゃんだな!」

からからと笑うのは、全身が毛に覆われて赤い大きな瞳を光らせた、一五〇センチほどの怪物がいた。

鋭い牙が並び、頭部から背中にかけてトゲが生えている。

「モスマンが来てるだろ? あいつ、俺たちには待機してろって言う割にはなかなか帰ってこないから。来ちゃったぜ!」

「来ちゃいましたか」

「夜遅くにごめんなー。あ、手ぶらじゃなんだから、お土産」

「気を遣っていただいてもうしわけな……めっちゃ見たことのある日本のお土産だ!」

「空港で買ったんだよ」

「飛行機できたんだ!? モスマンさんも言ったけど、人間社会に馴染んでるなぁ!」

チュパカブラが渡してくれたのは、ラスクの詰め合わせだった。

ありがたく頂戴する。

「ところで、俺、気になっちゃったんですけど」

「うん?」

「俺たちって言いましたよね?」

「言ったなぁ」

「ってことは、チュパカブラさん以外にも待機しているUMAがいるってことでオーケー?」

「オーケー!」

「ぴえっ」

(まだいるんだ、UMAさん。俺の心臓……保つかな。破裂したりしないから)

ファンタジーを通り越したUMAの存在は、夏樹を驚かせるには十分だ。

トップバッターがモスマンだったこともそうだが、次にチュパカブラが現れ、まだUMAが控えているというのだから、心臓が心配になる。

「ちなみにチャイムを押したのがスカイフィッシュだぜ!」

「ちょ、ま!? どこどこ?」

「いやー、あいつは俺たちでもなかなか視認できないんだよな。たまに、スカイフィッシュって本当にいるんだっけ、ってUMA業界でも首を傾げるんだよ」

「すげぇ、スカイフィッシュさん!」

「ちなみに、ビッグフットも来てるぜ!」

「逆に会いたくなってきたよ! もうみんなウチにこいよ! あ、嘘です。うそうそ、スマホを構えないで。メッセージでみんな呼ぼうとしないで!」

夏樹は慌てた。

勢いで言ってしまったものの、さすがに困る。

「夏樹くん! 大丈夫!? って、うわぁあああああああああ! 本当にチュパカブラさんがいるぅううううううううううう!」

「夏樹、大丈夫か――きゃぁああああああああああああ! こわいぃいいいいいいいいいいいい!」

茶の間から援軍が飛んできてくれたが、残念ながら一登もサタンもリアルチュパカブラに悲鳴をあげて腰を抜かしたのだった。