作品タイトル不明
30「新たな神々の動きじゃね?」
門の神によって新たな神々の拠点のひとつに移動した祝福の神は、気を抜くと同時に大量の血を吐き出した。
「……これはこれは、ごほっ、げほっ」
「あれ? 俺、ちゃんと回復させたんだけどなぁ?」
血を吐き続ける祝福の神の背中を門の神がさする。
「ごほっ、ごほっ……あなたの回復魔法は確かに効きました」
「じゃあ、なんで?」
「おそらく彼女の刀に原因があります」
「刀? 業物ってこと? それとも神剣の部類かな?」
「……いえ、もっと恐ろしいものです」
何度か咳と吐血を繰り返した祝福の神は、ようやく回復できたようでゆっくり立ち上がる。
「彼女の刀は隕鉄を鍛えたものでしょう」
「あー、そりゃ相性が悪いわぁ」
「どのような経緯であのような刀を手にしたのか不明ですが、想像以上のダメージを受けました。それ以上に、彼女は強かった。かなりの使い手でしたね。もしかしたら、由良夏樹くんよりも強いかもしれません」
「勘弁してほしいよなぁ。由良夏樹をどうするかで俺たちのこれからの行動も変わってくるのに、それ以上やばいのがいるってなると、他の十天に丸投げした方がいいじゃないの。ほら、もっとやべーのいるじゃん」
門の神は新しいガムを口に放り投げる。
彼としては、新たな神々として何かをしたいわけではなく、のんびり寝ていたいのだが、でしゃばりな門の神が調子に乗った結果死んでしまったので、代わりに十天に加わらなえればならなかった。
なので、できることなら他の神に丸投げしたいというのは嘘偽りない本年だった。
「十天以外にも強い神はいるんだし、上手く使いなよ」
「手伝ってくださいよ、門の神よ」
「向島市への送り迎えだけでも感謝してほしいんだけどぉ」
「感謝しています。もっと感謝したいので、どうかお力を」
「仕方がないなー」
門の神は、身体を思い切り伸ばした。
戦うことは好きじゃない。
痛い思いをするのも、痛めつけるのも、得意じゃないし面白くない。
――それでも、数いる門の神の中で一番強い。
「何も成さずに無駄死にした門の神程度が門の神と思われるのも嫌だから、祝福の神の手伝いくらいならしてあげるよ」
「感謝します」
「いえいえ。んで、どうするの?」
「私がすべきことは、由良夏樹たちの戦力の調査と勧誘です。勧誘ができないのであれば、殺します。ですが、今はその時ではない」
「つまり休憩?」
「そうですね。他の神も彼に接触する可能性もあるでしょうし、しばらくはあちらにものんびりしてもらいましょう」
「はーい」
元気よく門の神が手を上げた。
「UMAに接触していた神が失敗したという話を聞いています。UMAの一部が由良夏樹くんに接触しようとしているようですし、いずれぶつかるでしょうね」
「UMAを引こんでどうするんだかって思うのは俺だけー?」
「ふふふ、彼らは神でも魔族でもない存在です。どの神話にも属さない。そんな彼らが、私たちの神話に加わるのであれば、神話はより面白くなるでしょうね」
「UMAがいる神話ってなんだよーって思うけどなー。んで、接触して失敗したバカは誰だよ?」
「――花粉症の神です」