作品タイトル不明
25「さすがにおこじゃね?」①
「待って待って、とりあえずこいつらを鏖殺するから」
「殴殺!? 殴り殺すの!?」
「違うよ、鏖殺だよ。皆殺しにするの!」
夏樹はナタを投げた。
森とのやりとりに呆然としていた淫魔の頭部に直撃し、絶命させる。
「んじゃ、あと三人か」
「ゆ、由良」
「由良っち」
「森さん、片岡くん。しばらく目を閉じて耳を塞いでいてほしいな。ちゃんと説明はするから」
「わかったわ」
「……うん。約束だよ」
夏樹は魔剣を抜き、頭からCDと顔から嘴を外す。
「俺の知り合いに手を出したんだ。来世までぶっ殺してやるよ」
夏樹の魔力が吹き上げた。
「――良い魔力ですね。門の神が殺されたのも理解できます」
「……門の神? 知らないんですけど、どなたぁ!?」
「覚えていないのならそれでも構いませんよ。所詮、人間程度に殺された弱者です」
男は椅子から立ち上がる。
にこやかな顔をしているが、笑っている雰囲気はない。
今のスーツに身を包み、髪は茶色い。
外見年齢は三十ほどだ。
「んで、新たな神々が雑魚引き連れて何をしたいってんだ?」
「私はお手伝いをしているだけです。彼は淫魔です」
「で?」
「君に殺された家族の仇を取るために、君を狙っていたようですが、いかんせん弱い。そこで、私が力を授けたのです。今ならいい勝負をすると思ったのですが、雑魚に力を与えても雑魚でしたね」
「雑魚だな。ちゃんと反省して、次から雑魚にわざわざ力を与えようなんて考えるなよ」
「耳が痛いですね。善処します」
「よろしい!」
「ふざけるな!」
軽口を叩き合う夏樹と神に、淫魔の女性が激昂した。
「由良夏樹! 貴様は私の家族を殺した!」
「淫魔? 知らないなぁ」
「ふ、ふざけているのか?」
「なんかごめんね。俺は淫魔なんかどうでもいい」
「き、さ」
「あー、はいはい。そういうのいいから。俺に復讐したくて、森さんたち攫ったんだよね。――ふざけんなよ」
夏樹の魔力がさらに跳ね上がる。
淫魔は魔力による圧でその場に這いつくばった。
「俺の名前を知っているなら、他も調べたはずだ。その上で、人質をとるなどふざけたことしかできねえ奴は眼中にねえんだよ。家くらい調べただろ。チャイム押して会いにこいよ。真正面から戦って殺してやったのに」
「おの、れ」
「新たな神々にどんな力をもらったのか興味もない。無関係な人間を巻き込んだことを後悔しながら、惨たらしく死ね」
「待て!」
淫魔の男が叫んだが、無視して淫魔の女の指を斬り落とした。
叫ぶ暇など与えない。
次は、耳と鼻を削いだ。
片目を潰し、足首を落とし、両手首を斬り、続いて両肘を斬る。
白目を剥いた淫魔の両肩を斬り落とし、次は両膝を砕く。
「やめ――」
淫魔の男が何かを言うよりも早く、夏樹は淫魔を唐竹割りにした。
「はい、これで、あとふたり。死んだ方がマシってほど苦しめて殺してやる」
「ふ、ふざけるな! 貴様っ、我が一族を! よくもよくもよくも! 家畜風情の人間が!」
「喚くな」
「黙れ! 我が一族がこれで全てだと思ったら大間違いだ! 来い! 我が一族よ!」
淫魔が叫ぶが誰も来ない。
「なぜ、だ」
愕然とした淫魔の呟きに答える人間がいた。
「悪いが、外にいた淫魔どもは俺が停止させてもらった。良い練習台になったぜ。ま、数が数だったせいで少し手こずりはしたがな」
サングラスをかけ、電子煙草を吸う七森千手だった。