軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

24「森さんのツッコミじゃね?」①

「ふざけた格好をしやがって! どこのどいつ――だ?」

淫魔のひとりが、侵入者に掴み掛かろうとして腕を切り落とされた。

絶叫は上がらない。

続けてもう片方の腕が切り飛ばされ、片足も切断される。

瞬く間に両腕と片足を失い、傾く淫魔は何が起きたのか分からず呆然としている。

侵入者の攻撃はまだ止まらない。

錆びたナタを振るい、淫魔の胴を両断した。

臓物が溢れ、血を撒き散らす。

「――あ、あ……あ」

どしゃり、と背中から床に倒れた淫魔の顔面に目掛け、さらにナタを振り下ろした。

――ぐしゃ。

嫌な音を立てて、淫魔がひとり絶命した。

「ふしゅー、ふしゅーっ」

ホッケーマスクの侵入者のくぐもった呼吸が響く。

「いやぁああああああああああああああああああああああ!」

惨殺の一部始終を見てしまった森が叫んだ。

すると、侵入者は「あ、やべ」と小さく呟き、森に近づく。

「ぎゃぁああああああああ! 来るなぁ! 片岡くん、逃げて!」

「でも!」

「ギャラクシー河童勇者こわくないよー! ともだちだよー! みんなのともだちだよー!」

「ふざけんなぁああああああ! 河童勇者とかわけわかんないこと言う奴がこわくないわけないでしょう! 河童って、由良じゃないんだから――――あ」

森が、ホッケーマスクの不審者をまじまじと見る。

「……そのわけわかんない格好、河童のお皿を見立てたCD、そのスニーカー……あんた由良夏樹でしょう!」

「チガイマス! ワタシハ、ウチュウカラヤッテキタ、ギャラクシーカッパユウシャデス」

「嘘おっしゃい! さっきまで流暢に話ししてたじゃない! なにそのナタとホッケーマスク、舐めてんの!」

「チガイマス、ボクは、ユラナツキナンテイケメンジャナイデス」

「誰もイケメンなんて言ってないわよ! イケメンっていうのは、片岡くんみたいな子を言うのよ!」

ホッケーマスクの人物を森が推測した時だった。

神気を束ねた閃光が襲う。

「きゃぁ!」

「うわっ」

不審者はナタで閃光を弾く。

「――ちっ」

森と片岡に傷ひとつなかったが、その代償は大きかった。

ホッケーマスクが外れてしまった。

「――やっぱりってなんで、牛乳パックを加工して河童のくちばし作ってんのよ! やっぱり由良じゃない!」

「バレてしまっては仕方がない」

「隠す気なかったでしょう!」

「どこにでもいるちょっとおちゃめな普通の中学生由良夏樹は仮の姿なんだ」

「……あんた、普通の中学生じゃないでしょうが!」

「普通の中学生なんだ! だけど、異世界に勇者として召喚されて異世界で無双して帰ってきたんだ!」

「由良っち、冗談じゃなくてマジだったんだね」

「片岡くん、ギャラクシー河童勇者は嘘をつかないのさ!」

「ドヤ顔してるんじゃないわよ! そもそも異世界に勇者召喚されたのはさておき、なんでギャラクシーで河童勇者なのよ!」

「河童の守護聖人でもあるよ!」

「知らないわよ!」

ホッケーマスクの不審者――由良夏樹であることを知った森は、これでもかとツッコミをする。

そのツッコミの勢いは、七森千手に引けをとっていなかった。

「ちょっと待って、なんで由良がここにいるの?」

「――その理由は私が話しましょう」

淫魔たちよりも格上である男が、椅子から立ち上がる。

彼が夏樹たちに攻撃をした――新たな神々だった。

「うるさい! 私は由良に聞いてるの! あんたは黙ってて」

「……はい。すみません」

男はしょんぼりして椅子に座り直した。